アマチュアながら、イベント等で、完成見本のガレージキットや、フィギュアの塗装を行っているというたけしさん。主に「リアル系」と呼ばれる造形を中心に、悲しみや怒りといった「負の感情」を、塗装のみで表現することを得意とされています。

 先日は、自身の塗装スキルのひとつである「毛細血管」の描き方について、Twitterで紹介されました。

「昨日のとこーるくんのヤツの補足。
血管はあんまり描かなくなったけど必要とあればやるよ。ラッカークリアの上にエナメルクリアで太い血管描いてラッカークリアで一度閉じる。その後またエナメルでチョン置きしてエナシンで湿った筆で叩く」

「そうすると毛細血管みたいになる。艶消しでやると上手く散らないからツヤツヤじゃないとダメ。その上から肌基本色を透けるように吹いて血に近いオレンジ系や紫色系で毛細血管を描く。そんで肌基本色をある程度透ける程度に吹く。これで肌基本は終わり」

「その上から肌部位にあったトーンの肌色を薄く吹いて、シャドー部にサフレスクリアのオレンジとピンクを何トーンか混ぜたのを吹いていく。最後馴染ませるのとハイライトに肌基本色に白混ぜたのをふわっと吹いて、後は筆で描き込み。最近やらんけど」

 3度に分けて、プラスチックスプーンに描いた「毛細血管」について解説したたけしさん。4枚の画像では、それに至るまでの「血の巡り」を順に紹介しています。

 1枚目ではラッカー塗料を吹きかけたスプーンの上に、エナメル塗料を太い血管を描くというもの。これだけでもひとつの技法ですね。

4枚の画像で詳細を説明する投稿者。まずは太い血管を塗装。

 次にラッカー塗料で一度閉じた後、再びエナメル塗料をチョンと置くように塗装したのが2枚目。木に生い茂る葉っぱのような様相に。

そこからエナメル塗料で置くように塗装。

 エナメルシンナーで湿らせた筆で叩くように塗装したものが3枚目。ジワジワとスプーンに染み渡った太い血管は、細部まで張り巡らされた「毛細」のように見えてきます。

エナメルシンナーで叩くように塗装。太い血管が毛細に。

 そして、オレンジや紫系の塗料で、同様に血管を筆書き。全体に散らせるため、つや消しを用いず、肌(スプーン)に馴染ませながら、ひたすら描きこんだ結果、既視感のある「毛細血管」になりました。

色を変えつつ、描きこんだ結果、既視感のある毛細血管に。

 これをリアル系フィギュアに反映させると、本当に血管が浮かび上がるかのように「変貌」。すごい、これは文字通りのリアルだ……!

リアル系フィギュアの塗装を得意とする投稿者ならではのスキル。

まさに「リアル」。

 「リアル系フィギュアはアニメ系とは違うので、肌塗装や血管をリアルに再現することで、人体の皮膚の構造を説明しています。また、それが意外と簡単に出来るということを、ハウツー的な言い合いで投稿したものですね」

 このように投稿経緯を語るたけしさん。確かにこれなら、初心者でも試せそうな技法です。ただし、今回紹介したように、鮮明な毛細血管にさせるにはちょっとしたコツがあるそうです。「意外と簡単」とはいえ、一朝一夕で出来るものではありません。

 とはいえ、これだけのノウハウ。“企業秘密”にしても差し支えないのでは。その点について、たけしさんはこのように答えられています。

 「技術は共有していきたいので、たくさんのモデラーさんに見て、試していただければ何よりです」

<記事化協力>
たけしさん(@ankokugod666)

(向山純平)