人生の一大イベント「プロポーズ」。それぞれの人に世界に一つだけのエピソードが存在するかと思いますが、絵描き兼カード作家のcocoroさんは、期せずして他人の「プロポーズ」に関わっていたようです。

「この間のデザフェスで男性がスマホを僕に差し出しながら『これあなたの作品ですか?』って聞かれて、オシャレなバーのカウンターぽいところで自分の作品が写ってて『はい』って答えたら『これでプロポーズして成功しました!』って言われた!」

 東京ビッグサイトにて、11月13日・14日に開催された「デザインフェスタvol.54」で起きたエピソードをTwitterで紹介したのはcocoroさん。遭遇したのは、接客がひと段落したとき。つぶやきの通り、突然男性から、スマホを差し出されて質問を受けたそうです。

 cocoroさんは当初、購入したものを飾っているのかと思い「わざわざ報告に来てくれてありがたい」と喜んだそうです。そこで「僕の作品ですね」と応じたところ返ってきたのが、まさかの答えで驚いたとのこと。しかもその男性は、すごい勢いでcocoroさんの手を両手で握手したそうです。

 「驚きと嬉しさに、『自分の作品で良かったのかな?』という疑問など……とにかくいろいろな感情が沸き起こって、少し混乱してしまいましたね(笑)」と当時の心境を語っています。

 それにしても、当の男性が何を渡したのかが気になるところ。

 cocoroさんは「飛び出すカード」と呼ばれる、開封すると様々な立体イラストが飛び出るオリジナルカードを制作しています。現在は1枚切りと、レーザーカット加工を取り入れた作品を主としていますが、男性が写真でみせてくれた物は数年前に作るのをやめた作品だったそうです。

1枚切りやレーザーカット加工を用いた「飛び出すカード」を制作している投稿者。

 「実は、5年以上前に販売をやめた彩色タイプのものだったんです。誕生日カードも、投稿の『青』ではなく『藍色』でした」

白と紹介していた投稿者ですが、実際は藍色タイプのものでした。

誕生日カードも青ではなく藍だったそう。

 なぜ5年以上前に販売をやめた作品が男性のもとにあったのかは分かりません。もしかすると過去に手に入れ「いつか使いたい」と保存したいたのかもしれませんし、何かの偶然で最近手に入れたのかもしれません。ただ、今では手に入れることができないはずの過去の作品が、再び自分の前に現れ誰かの幸せを手助けした……というのは、cocoroさんにとって作家冥利につきたことでしょう。

 ちなみに、cocoroさんは旅好きということもあり、アート・コミック系のイベントを中心に、全国各地でのイベント出展をライフワークにされています。どこで・いつ、男性が手に入れたかはわかりませんが、その行動範囲を考えると、男性が「幸運のカード」を手に入れられたのは正直奇跡だったのかもしれませんね。

<記事化協力>
cocoroさん(@atelier_coco)

(向山純平)