オタクの聖地として名高い東京・秋葉原。今は世界中に名前が知れ渡り、外国からの観光客にとっても「一度は来てみたいところ」として人気のスポットです。そんな聖地・秋葉原デビューに際し、気合を入れた格好で行ったものの、やりすぎちゃってて焦った……という「デビューあるある」な漫画がSNSに発表されています。

 地方出身の福田ナオさんが、進学を機に上京したのは2014年。とうとう夢見ていた聖地に行ける!と、気合を入れて秋葉原デビューした時の思い出漫画をTwitterに投稿しました。

 上京する前からインターネットが大好きだったという福田さん。当時のことを振り返り「インターネットで見かける『オタクカルチャー的なもの』の総本山が秋葉原であるというイメージでした。また、ドラマで見ていた『電車男』の『アキバ系』のイメージがいまだに強かったです」と語ってくれました。

 やはり秋葉原に行くのであれば!と思い立ち、持っていたアニメTシャツを着て秋葉原に降り立ちました。ここが秋葉原か……周りを見回してみると、見るからにオタクっぽいファッションの人はあまり見かけず、アニメTシャツを着てるのは自分だけ。ええぇぇ!?と衝撃を受けてしまったのでした。

秋葉原デビュー時の衝撃漫画(福田ナオさん提供)

 衝撃の秋葉原デビューを飾った福田さんに、その時のことをうかがうと「実際に秋葉原を訪れて、駅の電気街口から外へ出てみると、並んでいるお店自体は結構イメージ通りだったのですが、道行く人に対しては『イメージより全然ちゃんとしてるじゃん』と思いました。アニメTシャツは本当に着て行ったのですが、当時おそらく平日だったという事情もあり、なかなかに周囲から浮いている感覚を受けました」とのこと。確かに平日の秋葉原はビジネス街という側面もあり、オタクっぽさは少し薄いかもしれませんね……。

 服装に関しては衝撃を受けたものの、街自体に関しては割と想像通りだったそうです。

 「ゲーム、トレカ、同人誌のお店がめちゃくちゃあるし、少し奥に入れば自分には使い道が分からない謎の部品屋さんとかもあって、そのあたりは自分のイメージと一致していました」という具合に、秋葉原を堪能したとのこと。

 福田さんが、秋葉原の街に対してのイメージを改めたのは、漫画に描かれたデビューから数か月後。初メイドカフェの時。

 「外国からの観光客がたくさんいましたし、こちらはTシャツの体験とは逆に『みなさんが想像してるジャパンのアキハバラのメイドカフェってこんな感じですよ!』みたいな直球ど真ん中の作りに感じられたんです。そこで初めて、秋葉原がオタク文化のイメージを売る街として観光地化してるのかな、ということを実感しました」

 言われてみると、一部のメイドカフェは確かにそんなイメージがありますね……。オタクを対象としているというよりは、あえて一般向けに「求められている分かりやすいオタク文化」を発信する存在となっているのかもしれません。

 つい最近までは秋葉原のすぐ近くに住んでいたそうで「日常的にヨドバシAkibaに行ったり、広くて快適なエクセルシオールカフェに行ったりしてました。メロンブックスを無意味に巡回するのも好きでした」と定番のコースを語ってくれました。

 それと同時に「でもこれは秋葉原じゃなくてもできることなんですよね……。引っ越し先の街でも、まったく同じことをやっています。単に私が浅瀬のオタクなんだと思います」と話す福田さん。いえいえ、オタクは場所が違っても同じような巡回コースを作り上げるものですから、十分オタクライフを満喫しているのではないかと筆者は思います。

 秋葉原は有名になりすぎた分、人それぞれの「アキバ」像が出来上がっているような気がします。同じように、池袋の乙女ロードや中野ブロードウェイ、名古屋の大須に大阪の日本橋……オタクの街と呼ばれる場所は数々あり、それぞれ似ているようで違っていることからも、オタクはもっと幅広いものなのかもしれませんね。

<記事化協力>
福田ナオ絵さん(@fukku7010gmail1)

(咲村珠樹)