様々なジャンルのあるジオラマですが、海上を航行する艦船のジオラマは愛好家も多く、人気のジャンル。「ウォーターライン」と呼ばれる喫水線上の部分を再現した艦船模型と、海のディティール表現などが見どころです。そんな艦船ジオラマで、誰もがやってみたい(?)注目の新作がSNSに投稿されました。

 大海を威風堂々と1隻で進む軍艦。その上構には、いくらと輪切りになったキュウリ。堂々とした「イクラ軍艦」です……って、そっちの軍艦かーい!

堂々たる「イクラ軍艦」の威容(アルキメデスさん提供)

 ダジャレを具現化したジオラマ「イクラ軍艦」をTwitterで発表しているのは、普段は真面目な艦艇や航空機、陸模型のジオラマを作っているアルキメデスさん。デジタルやアナログでのイラストも描いています。

 出オチ感満点の「イクラ軍艦」ジオラマ。アルキメデスさんは「以前イラストレーターさんが軍艦巻きの航行するイラストを発表しているのを拝見して、誰も制作しないと思い、いずれジオラマに作ってみたいと思いました。本当に些細な理由です」と動機を語ってくれました。

上から見たところ(アルキメデスさん提供)

 お寿司の「軍艦」は昭和の初め頃、東京・銀座のお寿司屋さんで誕生したといわれています。握ったシャリの周囲を黒い海苔で巻き、その姿を「黒鉄の城」である軍艦に見立てた、というのが由来。イクラやウニなど、握り寿司にすると食べにくい食材を食べやすく提供する手法として全国に広まりました。

 イクラ軍艦が波をけたてて進む海面は、ウレタンの表面にアルミホイルを加工して作られています。塗装し、綿や油彩を使って海面の細かい色合いや引き波(航跡)を再現。

引き波のディティールを細かく再現(アルキメデスさん提供)

 今回、肝心のイクラ軍艦は食品サンプルを素材にしたとのこと。食品サンプルは高価なので、艦隊を組むほど多く用意すると、元がダジャレだけにシャレにならない金額になるため、断念したそうです。

 元がダジャレだけに、スピード勝負の即席ジオラマだったという今回の作品。それでも塗装面などの乾燥時間で7時間程度はかかったといいます。真横から見ると、イクラを満載して海を進む軍艦の躍動感が素晴らしいですね。

真横から見ると海の臨場感がアップ(アルキメデスさん提供)

 普段の艦船ジオラマでは、ウォーターラインモデルの世界標準となっている1/700スケールで作っているというアルキメデスさん。このイクラ軍艦も1/700スケールとして考えてみると……なんだかとても豪快なものに思えてきます。食べきれるかな?

<記事化協力>
アルキメデス(ジオラマ、イラスト製作中)さん(@n26edd3Pt24U3Hk)

(咲村珠樹)