このところ注目を集めているイタリアンスイーツ、マリトッツォ。ルーツは古代ローマ時代にまでさかのぼるという伝統のスイーツで、パンに惜しみなくクリームをたっぷり挟んだ姿はインパクト大。自衛隊鹿児島地方協力本部も流行にのり、自衛隊ならではの「乾パン」を使ったマリトッツォを誕生させました。

 大きく口を開けたパンに、これでもかとクリームを挟み込んだマリトッツォは、西日本から全国へとブームが広がりました。今ではコンビニスイーツでも見かける商品となっています。

 全国的にブームとなったマリトッツォ。これを自衛隊風に作ったらどうなるか……というのを実現させたのが自衛隊鹿児島地方協力本部(鹿児島地本)。鹿児島県を担当区域とし、自衛官の募集や自衛隊の広報、退職する自衛官のセカンドキャリア支援などを主な業務としています。

 通常のマリトッツォはパンにクリームを挟みますが、自衛隊風は海上自衛隊の「乾パン」に大量のクリームを挟みます。パンと違って板状になっている乾パンは、クリームを挟んで形を整えるのが大変そう。

 担当者の方に話をうかがうと「きれいに形成して写真撮影しましたが、本部長から、クリームの量をもっと多くしてマリトッツォを前面に出すように指導を受け、再撮影となりました。クリーム量が多く、形成は何度もやりなおしました!」と苦労を語ってくれました。

 写真では、海上自衛隊のマークが入った皿に、たっぷりクリームの「乾パントッツォ」。初代の作品は夕方の撮影となったため、本部長(海上自衛隊P-3Cパイロット出身)の再点検は翌日に持ち越されることになり、冷蔵庫で保管されたといいます。

 努力の甲斐あって、翌朝に本部長からのOKが出たそうですが「前日作成の乾パントッツォは誰も食べたがらず……乾パンも湿気ってしまい、イマイチ……」と担当者さん。クリームの水分が乾パンを中途半端に湿らせてしまい、食感が悪くなったようです。

「乾パントッッツォ」のツイート(自衛隊鹿児島地方協力本部提供)

 しかし、それだけで終わらないのが鹿児島地本の良いところ。私たちの取材をきっかけに「たった今、再度作成して食べましたが、乾パンの塩味と生クリームの甘味がマッチして見た目からは想像できない美味しさ。乾パンの食感も良いアクセントとなっています。作りたては美味しいのですが、時間が経つと乾パンの食感が変わり、イマイチとなります」と、さらに作って味を確認してくれました。

 これで分かったのは「乾パントッツォは作りたてが美味しい」ということ。ご家庭で乾パンを使って作る際には、クリームを挟んですぐに食べたほうがよさそうです。

 鹿児島地本の担当者さんは、この乾パントッツォをさらに進化させることも考えている様子。「今後の改良点として、生クリームにフルーツをサンドし見た目と美味しさをアップして再挑戦?」と取材に答えてくれました。

 ご家庭で非常食として乾パンを備蓄し、賞味期限が近づいているなら、この「乾パントッツォ」を作ってみると面白いかも。自衛隊発の新スイーツ、見た目のインパクトも味も抜群のようです。

<記事化協力>
自衛隊鹿児島地方協力本部(@kagoshima_pco)

(咲村珠樹)