10月31日はハロウィン。古代ケルトの収穫祭と年越し祭りが発祥の行事ですが、日本でも仮装や家の飾り付けなどをする人も増えています。しかし、なんといってもハロウィンの本場ともいえるのはアメリカ。

 そんな本場のハロウィン装飾の家をジオラマ(情景模型)作家の藤平翔さんが、ジオラマにて再現。「アメリカ郊外の住宅をイメージし、誰もがアメリカを連想するような建物形状を意識しました」という、ウッドデッキのある下見板張りの一軒家です。

 藤平翔さんは、カーモデルで一般的な1/24スケールから、鉄道模型のNゲージで知られる1/150スケールをメインのフィールドとし、ジオラマや鉄道模型のレイアウト、ミニチュア写真を発表しています。

 そして今回発表した作品は、ハロウィンの装飾があちこちにされているアメリカの住宅。

 大きさは1/24スケールで、家の前面は手より少し大きいくらいのサイズ。スチレンボード、木材、プラ板などを駆使して制作されています。

大きさは1/24スケール(藤平翔さん提供)

 家には、ダブルバンパーとフロントフェンダー上のターンシグナルランプから、1960年代製と思われるフォルクスワーゲン・ビートル(タイプI)の姿が見えます。

庭には1960年代製のビートルが(藤平翔さん提供)

 このスタイル、1968年のディズニー実写映画「ラブ・バッグ(The Love Bug)」で、主人公となったビートルの“ハービー”と同じもの。ボンネットフードにはコウモリ、ルーフにはジャック・オー・ランタンの装飾がされています。

ビートルにも装飾が施されている(藤平翔さん提供)

 庭先にあるジャック・オー・ランタン。カボチャをくり抜いて作るランタンですが、実はLEDが仕込んであり、光るんです。大きさは1円硬貨(直径2cm)と同じくらい。

庭先のジャック・オー・ランタン(藤平翔さん提供)
LEDで光る(藤平翔さん提供)

 ハロウィンに間に合わせるため「超特急」の約40日で作品を仕上げた、という藤平さん。「通常は作品サイズにもよりますが、2か月~3か月くらいで制作しています」とのことなので、普段の半分くらいの期間で完成したようです。

色づいた庭木(藤平翔さん提供)
ジャック・オー・ランタン(藤平翔さん提供)

 制作期間は短くても、ディティールなどの表現には手を抜いていません。家の裏手にはお墓、窓にはコウモリやスプーク(おばけ)のステッカーが貼ってあったりと、住んでいる人がどのような暮らしをしていて、ハロウィンの装飾をしたのか……という情景が目に浮かびます。

お墓の装飾(藤平翔さん提供)
窓にはコウモリとスプーク(藤平翔さん提供)

 藤平さんは全体の雰囲気を重視したそうで「子どもがワクワクしてお菓子をもらいに行く家にしたかったので、怖すぎずお洒落な雰囲気を目指しました」と語っています。

 藤平さんは少年時代、ハロウィンの時期にお父さんに連れられアメリカに行ったことがあり、お父さんの友人宅に泊まって、その家の子たちと一緒に近所を回った思い出があるそうです。「今思えば、大人たちが本気で子どもたちを喜ばせる素敵なイベントだったと思います。ハロウィンを楽しむというのはその一度だけでしたが、その時のワクワクを表現したく制作に挑戦しました」と、作品作りに至った動機を話してくれました。

中ではパーティ?(藤平翔さん提供)

 ハロウィン気分満点のアメリカ住宅。藤平さんは自身のTwitter以外に、YouTubeでも、このジオラマの制作過程動画をアップしています。

<記事化協力>
藤平翔さん(@fujihira_sho)

(咲村珠樹)