1993年から1999年にかけて、週刊少年ジャンプで連載された漫画「地獄先生ぬ~べ~」。アニメやドラマ化もされ、発表から30年近く経った現在も根強い人気を誇っています。

 作品最大の特徴なのが、主人公の「ぬ~べ~」こと鵺野(ぬえの)鳴介の左手に宿る「鬼の手」。これを、かぎ針編みを駆使して手袋で再現する人があらわれました。

 制作者はかぎ針編み作家のユーフォさん。ユーフォさんは、普段より「あみぐるみ」と呼ばれる手芸アートを作っている人物。atelier Euph.(アトリエユーフォ)という屋号で、様々な二次創作物やオリジナルキャラを制作。作品はTwitterやInstagramで紹介されています。

j自身のTwitterやInstagramで「あみぐるみ」作品などを紹介している投稿者。

 ユーフォさんにとって、地獄先生ぬ~べ~は「子供の頃に観たアニメが大好きでした」という思い入れある作品。ただ、「鬼の手」を制作しようと思い立ったのはふとしたこときっかけ。

 「『何か変わったやつを作りたいな』と、作品の題材になりそうなものを検索していたときに、偶然ぬ~べ~の『鬼の手』の画像がヒットしたんです。その瞬間、『これを編んで作ってみたら面白いんじゃ?』と創作意欲がふくらみ、気づいたときには作り始めていましたね(笑)」

 ちなみにユーフォさんは、「あみぐるみ」の他に、コスプレなどに使用する「変わり手袋」も不定期で制作されています。そして今回は、「手に装着して遊べたら楽しそうだと思って」と、手袋として作ってみることに。

 しかしながら、「鬼の手」といえば、赤や紫といった独特の配色に、関節部分の隆起、先端の鋭い爪など、禍々しさをこれでもかと具現化したフォルムが特徴的。これを再現するために、ユーフォさんは様々な試行錯誤を行っています。

 「編み方に関しては、『畝(うね)編み※1』という技法を用いて、『鬼の手』の模様を表現しました。同時に手首に関しては、べっちんさん(@betibettin)という方が開発した『ジグザグ編み※2』という技法を用いることで、編み地に伸縮性を持たせています。これにより着脱も容易になっているんです」
※1「畝編み」とは、目の向こう側をすくい上げるように編みこんでいく技法。
※2「ジグザグ編み」とは、べっちん氏が考案した目をジグザグに交差させながら編みこんでいく技法。

 また、鬼の手の模様については、再現にもっとも苦労したポイントだったそう。

 「原作やアニメの『鬼の手』とにらめっこしながら、紫の筋がどのように繋がっているか注意深く観察しました。結果、筋の一部は縫い付けているんですが、綺麗に縫い付けるのが中々大変で、あらゆる技法を駆使しながら、かなりの神経を使っての作業でしたね」

元々2020年1月に制作した鬼の手。

かつて多くの子供たちが憧れた鬼の手の「ミエナイチカラ」そのもの。

 なお、今回ユーフォさんが紹介した「鬼の手」は、手の甲以外に実は手のひら部分もしっかり作り込まれています。これら完成写真はユーフォさんのInstagramでも、まとめて紹介されています。

<記事化協力>
ユーフォさん(Twitter:@bon_66/Instagram:@atelier_euph.2)

(向山純平)