たとえ題材が同じだとしても、様々な表現技法により、自分だけのオリジナルを作れるのが「ものつくり」の魅力。

 それを如実にあらわした投稿が、SNS上で反響を呼んでいます。

「ウイングゼロ!!完成しましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
去年から約7ヵ月走り抜けました。ビルから流れ出る滝っ!!
そして佇むウイングゼロ。。。
これが見たかったーーー!!」

 このつぶやきとともに、作品をSNSで公開したハス寝るさん。自身を「物作りが大好きな者」と称し、近年は、プラモデルのカスタマイズや、それを活用したジオラマを製作し、自身のTwitterやInstagramを通じて作品公開を行っています。

 今回公開したのは1995年から1996年にかけてTV放映されたガンダムシリーズ「新機動戦記ガンダムW」にて登場する、「ゼロ」ことウイングガンダムゼロのガンプラを用いたジオラマのファンアート作品。

投稿写真に写し出されたゼロは、草木が生い茂ながら朽ち果てています。

 荒廃したビル群の中で、片膝をつきながら朽ち果てているウイングゼロの姿に、ビルから流れ出る滝がアクセント。ウイングゼロについても、よくよく見ていると肩部などに草木が生い茂っており、“年季”も伝わってくる作品となっていますね。

ビルからは滝が流れ出ています。

年季を感じさせるウイングゼロのボディ。

 一目で臨場感と哀愁が伝わるジオラマですが、この「シーン」自体は、ガンダムW劇中にあったものでなく、「ハス寝るオリジナル」としてハス寝るさんが想像して作り上げたもの。

 「見たときに、『どれだけワクワクするか』『見続けても飽きないか』がコンセプトです!」と、作品コンセプトを語るハス寝るさん。今回の題材として選んだウイングゼロに関しても、様々な工夫を行っています。

 先述の草木の装飾もですが、細身のボディに対しても、「『廃墟のジオラマ』は、ずっしりとした質感の方が“メカ映え”するという持論がありまして」と、3割ほどビルドアップ。「重量級MS(モビルスーツ)」とも形容できそうな姿に改造しています。

細身のボディが特徴的なウイングゼロを約3割ビルドアップ。

 また、「見えない部分」についても、様々な仕掛けを施しているそう。

 写真でも確認できるビル群では、実はビル内部にも電飾を取り付けています。しかし、今回の投稿は、明かりがついていない状態での撮影のため、パッと見だと視認することが難しい状態。しかし、これこそが、ハス寝るさんの世界観作りにおけるポイント。

 「電気をつけたときに、部屋の中が廃墟になっていて、さらにそこから滝が見えるようにしているんです。思わずジロジロ見続けたくなる仕掛けにしています!」

 ただ、残念ながら今回の投稿では、撮影スケジュールの都合でそちらについての公開は行われていません。これは今後の全容公開に、期待せずにはいられません。

まだビルのライトアップを残している投稿者のジオラマ。全貌が気になるところ。

 そんな「廃墟に佇むウイングゼロ」のジオラマですが、作品の構想は、先述のプラモ製作を始めた3年前からあったとのこと。

 「ただ当初は、出来ないことばかりでした。そこから、模型やジオラマを作りながらスキルを上げて、徐々にパズルをはめていく感じで進めてきました。とはいえ何度も失敗しましたが(笑)」

 また、今回のジオラマにおいては、ウイングゼロだけでも使用パーツ数は800を超えるそう。「息をかければ飛ぶほどの大きさでして、何度もなくして作り直したりして本当に苦労しましたね」。

 自身の腕を磨きあげながら、幾多の困難を乗り越えて完成した大作。「好きこそ物の上手なれ」とは、まさにこのことと。

 そんなハス寝るさんですが、ひとつだけ悩みがあるそうです。

 「実は自分には子供がいるのですが、まだ小さいため、土日の作業も毎朝2時に起きて、子供が起きてくるまでの作業になっています。なので寝不足なんですよ(笑)」

<記事化協力>
ハス寝るさん(Twitter/Instagram:@hasuneru)

(向山純平)