「ふくろうGIF」というタイトルで公開された、ゲーミングフクロウの意味不明な動きに目を奪われる方が続出。作者の服部グラフィクス・ラ・銀座さん(以下、服部さん)は「ワケの分からないもの」を意識したといい、「面白い」という感情を改めて考えさせられる意欲作となっています。

 服部さんは、自身を「低解像度GIF作家」と称し、様々なドット絵アニメーションを制作している人物。作品たちは、自身のSNSやGIFプラットフォーム「GIFMAGAZINE」にて発表しており、しばしばネットで話題をよんでいます。

 「『これはドット絵です』と言われても、あまりピンとこないようなものに敢えてしています」と語る今回の「ふくろうGIF」は、リアル世界では恐らく見かけないであろう青いフクロウを駆使した作品です。

 一見、ドット絵風ながらも“崩れた”姿は、ゲーム的にいうと「バグった」風貌をしています。

 そんなフクロウですが、“止め絵”状態から画面をクリックしてみると、翼をファサファサさせ、さらににトチ狂った……失礼、コミカルな姿を披露。

 宇宙空間のような配色の背景をバックに、全体的にスピーディーな動き。喜怒哀楽を超越したフクロウの表情を見せたと思えば、「おまえは誰だ」と問いかけたくなるような何かに変貌したりと、変化自在に姿を変えるフクロウ。

 「クリックするたびに楽しんでいただけるようにしました」と、服部さんが語るのも納得です。

 見ているこちら側もバグってしまいそうなGIF動画。服部さんいわく「この作品のコンセプト自体は特にないんですよ」とのこと。その上で、自身の作品全体に対しては、あるこだわりを持っておられます。

 「僕の作品では、『誰も要求しないものを描こう』ということを日頃から意識しているんです。コンテンツ産業において、『解りやすさ』が重要視される昨今で、逆に『ワケの分からないもの』を目にする機会が少なくなったなと感じています。なので、僕が描いたものを見て、『何か分からんが勢いはすごい』などと感じていただける作品を作っています」

 昨今はユーザーに対して、「いかに短時間で理解してもらうか」ということが、とりわけ重要視されるようになってきました。

 しかし一方で、今も昔も変わらないのが、「面白い!」という感情の重要性。フクロウGIFに関しても、筆者のように、「良く分からんがすげえ……!」という印象を持ちつつ、同時に「でもこれ面白いぞ」と感じた方もおられるのでは。

 そんな服部さん、今回のフクロウGIF制作にあたり、ひとつこだわった点があったそうです。それは「翼」の動きについて。

 「実はあれは、自分の手の動きを撮影した動画を低解像度に加工したものを素材にしているんです」

 実際にTwitterにも投稿したメイキングの様子を紹介いただいたのですが、そこには、携帯カメラで撮影した服部さんの腕を、パソコン画面に抽出するという少々シュールな構図。しかしそれが、徐々に今回のフクロウGIFへ落とし込まれており、あえて「雑」を作り出す服部さんのきめ細かい作品作りの一端が見られるものとなっています。

 と、背景も聞いた上で、改めてGIF動画を見ると実に味わい深い作品。そして、今回服部さんにお話を聞いていく中で、最後に話された内容も実に味のあるものでした。

 「優雅に見える鳥の翼も、おっさんが夜中に一人で手をバタバタさせて撮影していると思っていただくと、味わいもひとしおではないでしょうか」

<記事化協力>
服部グラフィクス・ラ・銀座さん
(Twitter:@hattori2000/Instagram:@hattorigraphics/GIFMAGAZINE「HattoriGraphics」)

(向山純平)