イギリスのウィリアム王子は2021年6月29日(現地時間)、スコットランドで海軍の最新型フリゲート、26型フリゲート3番艦「ベルファスト」の起工式に出席。工作機械を操作し、最初の部品切り出しを行いました。また同時に、キャサリン妃が1番艦「グラスゴー」の命名式で、艦のパトロンとなることが発表されています。

 イギリス海軍の26型フリゲートは、老朽化した23型(デューク級)フリゲート13隻(16隻建造され、すでに3隻がチリ海軍に移籍)の後継として計画され、都市の名前から艦名が命名されるため「シティ級」とも呼称されます。また、オーストラリア海軍とカナダ海軍においても、基本設計を同じくするフリゲートの建造(オーストラリア:ハンター級/カナダ:カナダ水上戦闘艦)が計画されています。

26型(シティ級)フリゲート(Image:BAE Systems)

 1番艦となるグラスゴーは2017年7月20日、2番艦カーディフも2019年8月14日に起工され、現在スコットランドのグラスゴーにあるBAEシステムズのガバン造船所で建造中。2017年に発注された第1期建造分(バッチ1)の最後となる3番艦ベルファストも、同じくガバン造船所での建造が始まりました。

建造が進むグラスゴー(Image:Crown Copyright)

 起工式にあたる「スティール・カッティング・セレモニー」は、王室からウィリアム王子が出席。王子はレーザーカッターを操作し、鋼板から最初の部材となる、キアボックスとスタビライザー用の機械スペースを構成するパーツを切り出しました。

部品切り出しの様子(Image:Crown Copyright)

 このセレモニーに先立ち、ウィリアム王子は1番艦グラスゴーの建造風景を視察。従業員から3人のお子さんに、26型フリゲートの模型をプレゼントされました。

グラスゴーの建造風景を視察するウィリアム王子(Image:Crown Copyright)
26型フリゲートの模型をプレゼントされるウィリアム王子(Image:Crown Copyright)

 王子は式典で「建造の進捗状況はまさに驚異的で、今日ここで会ったすべてのスタッフが自分の仕事に誇りを持っていることが分かりました。その誇りは、最先端の船を建造しているというだけでなく、海軍とイギリスの国家安全保障に貢献しているということから来ています」と発言。また4月に99歳で亡くなったフィリップ王配(元イギリス海軍士官)にも言及し、もしこの建造風景を視察したら、スキルとテクノロジーの進歩に驚いただろうと語りました。

ベルファストの起工式でスピーチするウィリアム王子(Image:Crown Copyright)
造船所の従業員と会話するウィリアム王子(Image:Crown Copyright)

 BAEシステムズで海軍艦艇部門のマネージング・ディレクタを務めるサイモン・リスター氏は「この誇らしい日に、私たちの事業所へケンブリッジ公(ウィリアム王子)をお迎えでき、非常に光栄です。シティ級フリゲートは複雑な軍艦の能力における頂点であり、私たちのチームとともに3隻の将来を楽しみにしています」との談話を発表しました。

グラスゴーの建造風景を視察するウィリアム王子(Image:Crown Copyright)

 また同日、まもなく完成する1番艦グラスゴーの命名式にキャサリン妃が出席し、艦のパトロンとしての儀式を行うことが発表されました。王室の後ろ盾を得て、26型(シティ級)フリゲートはスコットランドの地で建造が進められます。

<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
BAEシステムズ ニュースリリース
Image:Crown Copyright/BAE Systems

(咲村珠樹)