ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル傘下の“空飛ぶクルマ(eVTOL)”開発企業、Eveは2021年6月7日(現地時間)、ブラジルに拠点を置くラテンアメリカ最大のヘリコプター運航会社Helisul(ヘリスル)より、50機のeVTOL(電動垂直離着陸機)を受注したと発表しました。引き渡しは2026年から始まる見込みです。

 慢性的な交通渋滞に悩む大都市にとって、3次元的に移動できる“空のアーバンモビリティ”は大きな魅力です。これを実現するため、既存の航空機メーカー以外にも様々な企業が参入し、開発競争が激化していますが、ブラジルのエンブラエルはEve(イヴ)という専門の関連会社を2020年10月に設立し、パイロットのいらない電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発を進めています。

 アメリカのフロリダ州に本社を置くEveでは、2021年6月1日にニューヨークとロンドンに拠点を置くヘリコプター運航会社、Haloから最初のカスタマーとして200機を受注。アメリカとロンドンで100機ずつを使い、“空のアーバンモビリティ”を展開する契約が発表されたばかりです。

 今回、50機のeVTOLを発注したHelisulは、1970年代初頭にブラジルで創業したヘリコプター運航会社。初期にはリゾートホテルからイグアスの滝への遊覧フライトを実施したり、国内の水力発電所や湖、野生生物保護区などの管理・監視業務などを受注していました。

 1990年代には小型飛行機も導入して本格的な航空会社となったHeliSul。今ではラテンアメリカ最大のヘリコプター運航会社にまで発展しています。

 契約では、50機のEve製eVTOLを導入するとともに、既存のヘリコプターによる“空のタクシー”を母体にした、“空のアーバンモビリティ(UAM)”ソリューションを共同で開発・構築することが含まれます。

 Helisulのコマーシャル・ディレクター、ルイス・カルロス・ムニョス・ダ・ロシャ氏は「都市は発展し続け、交通網はより混雑していきます。私たちのパートナーシップは、大都市におけるインテリジェントなソリューションと実践的なアーバン・モビリティを構築し、生活の質が向上するほか、“ドアからドアへ”の輸送手段により、大気汚染と移動時間が削減されるでしょう」とのコメントを発表しています。

 パイロットなしで自動制御されるeVTOLは、都市の様々な場所に設けられた発着点から、別の発着点や空港に移動できるほか、遊覧飛行にも使われます。EveではeVTOLを交通整理する空域管制システムも同時に開発しており、これまでHelisulが構築してきたヘリコプター運行サービスの手法を基礎とし、より安全でスムーズな空の移動を実現するとしています。

 Eveのアンドレ・スタインCEOは「Helisulとのパートナーシップにより、乱立するブラジルの巨大な“空のタクシー”を再編し、未来における空の移動をより良いポジションに位置づけることができます。私たちのチームは、市場におけるHelisulのユニークな位置を活用し、空の都市交通を管理するソリューションを含む、包括的なサービスを提供します」とコメントしています。

 Eveによると、HelisulへのeVTOL引き渡しは2026年からを見込んでいるとのこと。近い将来、ニューヨークやロンドン、そしてブラジルで、EveによるeVTOLサービスが始まる様子を目にすることができそうです。

<出典・引用>
エンブラエル ニュースリリース
Eve Urban Air Mobility ニュースリリース
Image:Embraer/Eve Urban Air Mobility

(咲村珠樹)