鉄道模型のレイアウトや、コスプレ衣装作りで大活躍する発泡スチロール。工業の世界では、金型を鋳造する際の造型素材としても使われています。昭和初期創業の老舗鋳造メーカー社員が業務のかたわら作っていたという、発泡スチロールでできた実物大の自転車がTwitterで公開され、その細かな造作が評判になっています。

 発泡スチロールは軽くて手軽な造形材料として重宝され、鉄道模型ではレイアウト(ディオラマ)の土台として山や川といった地形づくりに活躍。コスプレの世界でも、特撮やファンタジー系のグッズや衣装(甲冑やマスクなど)作りで広く用いられています。

 ホビー用途ではよく知られた素材の発泡スチロールですが、工業製品作りでも大きな役割を果たしているのをご存知でしょうか?大型の鋳造部品や金型をフルモールド鋳造法という製法で作る際、元となる型の素材で発泡スチロール(発泡ポリスチレン)が使われているのです。

 静岡県にある株式会社木村鋳造所は、1927(昭和2)年2月に創業したという老舗の鋳造メーカー。ここの伊豆工場で働く社員さんが業務の合間に作っていたという、発泡スチロール製の実物大自転車が会社の公式Twitterで「工場で発泡スチロールの自転車作ってたw」と公開されました。

 重さは1kgない、という発泡スチロールの自転車。会社のマークをデザインしたホイールは、内部が肉抜きされており、競技用自転車のような感じに。ペダルやサドル、前後ギヤやディレイラー、ブレーキといった部分も細かく作られています。

 どのように作られたのか、話をうかがうと「3DモデルをCADで作り、加工はNC(数値制御)工作機械を使っています」とのこと。通常業務の合間に作業を進めていたので、完成までには7日ほどかかったといいます。



 木村鋳造所では加工技術向上のため、社員さんが業務の合間に発泡スチロールを使った様々な試作品を作っており、この自転車もそのひとつ。完成した自転車を見たほかの社員さんたちも「おおおおお!!!!カッコイイ!!」と目を見張ったそうです。

 元々はより滑らかで精密な鋳物の型作りのため、磨かれてきた木村鋳造所の発泡スチロール加工技術。今では鋳物製品だけではなく、発泡スチロールを精密加工したイベント用模型や展示模型、コンサートやイベントで使われる造形物も作るようになっています。

 木村鋳造所の発泡スチロール精密加工技術は、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトでも、小惑星の地形モデルづくりに活用され、ミッション成功に貢献したといいます。身近な場所に展示されている造形物も、ひょっとしたら木村鋳造所が加工した発泡スチロールなのかもしれませんね。

<記事化協力>
株式会社木村鋳造所 公式Twitter(@KimuraFoundry)

(咲村珠樹)