スペインに派遣されているアメリカ空軍のB-52が2021年5月31日(現地時間)、ヨーロッパを周回する多国間飛行訓練「アライド・スカイ」を実施しました。B-52の周回飛行は5月26日に続く2週連続で、トルコからスペイン、イギリスにかけて合計21か国の戦闘機と編隊飛行訓練を実施しています。

 アメリカ空軍は地球規模で打撃力を迅速に展開できるよう、訓練とデモンストレーションを兼ねて定期的に世界各地へ戦略爆撃機を派遣する「ボマー・タスクフォース(BTF)」を実施しています。ヨーロッパではポルトガルのアゾレス島に派遣されていたB-2爆撃機に代わり、5月よりスペインのモロン空軍基地にルイジアナ州バークスデール空軍基地から第2爆撃航空団のB-52Hが進出し、任務に入りました。

 ヨーロッパでの「ボマー・タスクフォース」は、様々な任務に従事します。5月21日には爆弾を搭載し、ラトビアでのJTAC(Joint Terminal Attack Controller=地上攻撃管制員)訓練にも参加しました。


 ボマー・タスクフォースでの主な役割は、担当空域を周回飛行し、行く先々の空軍戦闘機と共同訓練をすること。編隊飛行訓練を通じて同盟・パートナー諸国との絆を深めることはもちろんですが、戦闘機側にとっては合流するまでの手順が対領空侵犯措置(スクランブル)と共通であるため、警戒空域に入った国籍不明機を捕捉し、迎撃する貴重な訓練機会でもあります。


 5月31日の訓練では、スペイン南部のモロン空軍基地を離陸したB-52Hが「ヨーロッパ」と「北アメリカ」の2区間に分けた飛行を実施しました。この訓練においてB-52Hは着陸せず、空中給油を受けながら飛行し続けます。


 訓練の「ヨーロッパ」区間では、東のトルコ、ギリシャから北欧諸国、最西端のポルトガルまでNATO加盟国すべての上空を飛行。加盟国の戦闘機はB-52Hの接近に合わせ、スクランブルと同じ手順で離陸して「国籍不明機」代わりのB-52Hに合流し、領空を離れるまで編隊飛行訓練を実施しました。


 東ヨーロッパのクロアチア、スロバキア、ブルガリアの空軍では、旧ソ連時代からの戦闘機を運用しています。このためクロアチア上空ではMiG-21、スロバキアとブルガリアの上空ではMiG-29の出迎えを受け、編隊飛行を実施しました。



 フランスでは、第113サン=ディジェ=ロバンソン空軍基地から離陸したラファールとともに、パリ上空を編隊飛行する姿も見られました。

 大西洋を横断した「北アメリカ」区間では、今度はアメリカ空軍とカナダ空軍の戦闘機がスクランブルする際の相手役をB-52Hは演じました。一連の訓練飛行中、イギリスのミルデンホール空軍基地に駐留する第100空中給油航空団のKC-135が空中給油を実施し、B-52Hの訓練をサポートしています。


 NATO連合航空部隊司令官を兼任する、アメリカ欧州空軍司令官のジェフリー・ハリガン大将は「爆撃機の任務はこれまでとは比べものにならないほど多様で不確実化した世界の安全保障環境において、対処する私たち部隊の信頼性を示すものです。今日のミッションはNATO諸国の航空優勢と、私たちに取り組めない課題はない、ということを示す素晴らしいものでした」と訓練を総括しています。


 今回の訓練に参加したのは、アメリカのほかトルコ、ギリシャ、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、スロバキア、ブルガリア、クロアチア、イタリア、ポーランド、フランス、イギリス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スペイン、ポルトガル、ノルウェー、デンマーク、カナダの計21か国。これだけ多くの国が参加し、様々な戦闘機が入れ替わりながらの訓練は、地上で警戒・管制にあたる人々のサポートが重要です。

<出典・引用>
NATO ニュースリリース
アメリカ空軍 ニュースリリース
フランス航空宇宙軍 ニュースリリース
デンマーク空軍 ニュースリリース
Image:USAF/フランス航空宇宙軍/ベルギー空軍/デンマーク空軍

(咲村珠樹)