今はスマホで会う約束をしたり、直接会わなくても簡単に連絡がとれる時代。でもそれがなかった頃は、一体どうしてたんだろう……?あるTwitterユーザーが当時のことを父親にたずね、その様子をTwitterに綴ったところ、大きな反響を呼んでいます。

 スマホやケータイのない時代。誰かに用事のある時、人はどのようにしていたのでしょうか。そんな疑問を父親に尋ねたのは、Twitterユーザーのfukusanityさん。父親からの返答と、その感想を以下の4つのツイートで綴りました。

「親に「スマホもケータイもない大学時代に誰かに用事ある時はどうしてた?」って聞いたら「そいつが取ってる講義に行って探す。いなければ後ろの方に座ってる人に”あいつ見かけたらあの喫茶店で待ってるから来てって伝えておいて”と言って喫茶店で待ってる。溜まり場みたいな喫茶店があった」と言われた」

「それが、なんかロマンチックでよかった。その手法の根底には「最悪会えなければしょうがない」みたいな諦めがあり、「確実にスケジュールを合わせて会える」みたいな確約がない中で、最大限会える確率の高い方法をみんながやってるみたいだった」

「よく会う人がどの講義を取ってるかちゃんと把握してたんだよね。講義って週一だから、それを把握しておけば週一でその人に会えるチャンスがある。それぐらいのタイムスパンで生きてたんだなあと思うと、LINEでメッセージ飛ばして会うようになった世の中すごいなあと思って………」

「父親、俺と似てて偏屈でシャイなところあるし「俺は友達少ないから、お前は友達多そうでいいなあ」って言ってたけど、実際のところこの話がスラスラ出てきたことを考慮すると、普通に気さくで優しくて友達多かったんじゃないかな」

 この一連のツイートには「そういう時代を生きてみたかった」という若い方や、逆に「ついこの間のことのような……」という方からのリプライが寄せられています。筆者もfukusanityさんのお父さんと同じく、スマホもケータイもない大学生活を送った世代。このツイートに、学生時代の生活がよみがえったような気がしました。

 生まれた頃からスマホやケータイ、ネットが使えた「デジタルネイティブ」の方からすると想像がつかないかもしれませんが、当時は「すぐに反応しなくては」という気持ちにはならず、逆にメッセージを伝える側も「すぐに反応が返ってくる」とは思っていなかったのでした。もちろん、本当に緊急の用事なら話は別ですが、そんなシチュエーションは多くありません。

■ たまり場や教室に行く、友達に伝言を頼む、伝言板にサインを残す

 fukusanityさんのお父さんと同じく、筆者を含めた当時の学生には喫茶店や学食、図書館やサークル棟など「溜まり場」というべき場所がいくつかあって、仲間たちは「あいつなら、あそこにいるだろう」と、お互いの行動パターンを把握していて、会える場所の目星をつけていました。

 首尾よく会える場合ばかりではなく、入れ違いになってしまうこともしばしば。そんな時は「溜まり場」にいる同じ仲間に伝言を頼むか、伝言板にサインを残しておく、といったようなこともしていましたっけ。って、ここまで書いて気づきました。伝言板って世代によっては知らない人がいるかもしれませんね。伝言板とは昔、駅や学校などにあったみんなが勝手にメッセージを書き残せる黒板/ホワイトボードのことです。

 さて、話を戻すとfukusanityさんのお父さんが語ったように、相手の履修している講義を把握していることも多かったので、その前後に教室へ行くというパターンもありました。これは今の学生さんたちと同じで「終わったらそっちの教室に行くから待ってて」というのと同じ要領ですね。

 そう考えると、昔の方が友達の好みや行動パターンなど、相手の情報を数多く持っていたような気もします。それは「すぐ連絡がつく」現在と違い、互いのタイミングが合わないとコミュニケーションが取れない、いわば「会えないのが当たり前」という状況だったから、それを補完する周辺情報が必要だったといえます。

 今はスマホで、比較的すぐに連絡が取れ、コミュニケーションができます。「昔の方が人間関係が濃密だった」と語る人もいますが、今が希薄な人間関係ということではなく、実はすぐコミュニケーションできる分、それを補完する「個人の周辺情報」が必要とされなくなっているだけで、質の面では昔も現代も変わらないのではないでしょうか。

 コミュニケーションの手段は時代によって常に変わっていき、その移り変わりを知る人にとっては、昔と今が全く違っているように感じるかもしれません。しかし、コミュニケーションの方法は変わっても、人間が交流する本質は変わっていないという気がします。

<記事化協力>
fukusanityさん(@fukusanity)
※見出し画像はfukusanityさんのツイートからのスクリーンショットです

(咲村珠樹)