東京の「アキバ(秋葉原)」という地名を聞いて、何を思い浮かべますか?「オタク文化の聖地」というのはもちろんですが、戦後間もなくから続く電気街、特に「電材」と呼ばれるパーツ類を扱う店が長年にわたって営業を続ける街です。そんな秋葉原で、電材を扱う愛三電機さんが作った「LANケーブルキーホルダー」が人気となっています。

 秋葉原のど真ん中、中央通りと神田明神通りが交わる交差点にお店を構える愛三電機株式会社は、1949年から続く電気街の老舗。主な取扱商品は「電材」の中でも光通信部材やネットワーク機器、電線に配線パーツといったケーブル関連に強みを持っています。

 そんな愛三電機では、自社オリジナルのLANケーブル(cat5e)を使ったキーホルダー(税込858円)を販売しており、これがアキバらしいアクセサリーとして人気を集めています。全7色(赤・橙・黄・緑・青・水色・白)の鮮やかなカラーで、両端に取り付けられたクリアのコネクタともマッチして、キャンディのような感じに見えますね。

LANケーブルキーホルダーは全7色

 愛三電機の担当者さんに話をうかがうと、ご本人がLANケーブル作り(ケーブルとコネクタのつなぎ方)を教えてもらった際、出来上がった「短いLANケーブル」がかわいく、何かに活用できないかと思ったのがきっかげだったとか。試しにキーホルダーにしてTwitterに投稿してみたところ、たくさんの反応があり、そのままトントン拍子で商品化が決まったそうです。

 発売初日となった2020年10月31日。はたして本当に売れるのか心配だったそうですが、午後には用意した分が完売。その後も入荷(ひとつひとつ手作りしているそうです)するたび、すぐに完売する状況が続いたといいます。

 そんなある日、TwitterでこのLANケーブルキーホルダーを目にした明和電機の土佐信道さんから「コラボしませんか?」とTwitterでお話が。筆者も1990年代からの明和電機ファンなのですが、初期の「魚器(NAKI)」シリーズにはスイッチやノッカーなど、まさに電材を使った作品が多数。このため、愛三電機さんともすぐに意気投合したといいます。

 明和電機とのコラボで誕生したのは、LANケーブルキーホルダーのコラボパッケージだけはありません。LANケーブルのコネクタを差し込むRJ-45ジャックを象に見立てた「LANゾウさん ベイビー(税込1320円)」、LANケーブルのコネクターカバーを帽子に見立てた「ミスターLAN(税込880円)」という、新たな商品も誕生しました。

 このコラボにより「さらにたくさんの需要をいただけ、とても嬉しかった」と、愛三電機の担当者さんは語ってくれました。また「発売から半年が過ぎましたが、いまだにお手にとってくださるお客様も多く、とても嬉しい限りです」と感謝の言葉も口にされていました。

LANケーブルキーホルダーは手作り

 ちなみにLANケーブルキーホルダーは、実際のLANケーブルと同じようにコネクタとの結線がされています(ストレート配線と特別仕様のクロス配線があり)。しかしキーホルダーの金具を固定するためにツメ部分がレジン加工で固めてあるので、ジャックに差し込むことは不可能。また、長さが短すぎるので信号ノイズが発生し、LANケーブルとして使用することはできないそうです。

 ワイヤレスイヤホンやWi-Fiなど、ケーブルを目にする機会が少なくなりつつありますが、かわいいキーホルダーで、私たちの通信インフラを支えているケーブルに思いを馳せるのもいいかもしれません。LANケーブルキーホルダーは、秋葉原の愛三電機店頭のほか、公式オンラインショップでも取り扱っています。

<記事化協力>
愛三電機株式会社(@AisanNews)

(咲村珠樹)