砂浜には海藻や貝殻など、様々なものが打ち上げられています。これら浜に打ち上げられた漂着物を観察したりすることを「ビーチコーミング(Beach combing)」といいますが、時には珍しいお宝を見つけることも。そんなお宝がTwitterに投稿され、話題となっています。

 珍しいお宝を浜で発見したのは、福岡県のレザークラフト作家、cokecoさんです。海の生き物をモチーフにした作品も作っているcokecoさん、朝に砂浜をお散歩していると珍しいものを発見。その喜びを「めっちゃいいやつ拾えた!」と画像付きでツイートしました。

 それは、大きな白い巻貝のような殻。しかし、巻貝の場合は口に向かって一定の割合で口径が大きくなっていくのですが、これはちょっと違うようです。

 種明かしをしてしまうと、これはアオイガイ(葵貝)というもの。「貝」という名前が付いていますが貝ではなく、タコの殻です。

 アオイガイは世界の暖かい海域に生息するタコの仲間。日本では日本海や太平洋側の暖かい地域で見ることができます。

 名前の由来は、この殻を向かい合わせに配置すると葵の葉に似ていることから。英語名(アルゴノート)や学名(Argonauta argo)は、ギリシャの伝説で金色の羊毛(ゴールデンフリース)を求めて旅した、ヘラクレスら50人のアルゴー船乗組員にちなんでいます。

 一見貝殻のように見えるアオイガイですが、これはメスの幅広くなった腕から分泌される液が固まったもの。メスはこの殻の中に卵を産み、外敵から保護します。

 アオイガイは海面近くを漂うように生活しているので、死んだあとに抜けた殻が海面に浮かび、海流に運ばれて浜へ漂着します。貝と違い、殻は透けるほど薄いこともあり、生きているうちから割れてしまうこともあるのですが、これほどきれいな状態で漂着するのは珍しいですね。

<記事化協力>
cokecoさん(@cokecoleather)

(咲村珠樹)