イギリスの空母クイーン・エリザベスが2021年3月15日(現地時間)、スコットランド西部に新設された弾薬補給用の桟橋を訪れました。この地域独特の細長い入り江(ロッホ)を慎重に通過し、その奥に開設された新しい桟橋に到着した空母クイーン・エリザベスは、今年後半に予定される東アジア方面への初任務航海に向け、最後の準備を整えます。

 スコットランド西部には、イギリス海軍のスコットランドにおける司令部が設けられたクライド海軍基地があります。ここにはイギリスの核戦力を担う弾道ミサイル原潜部隊があるほか、それらの弾薬を補給する弾薬庫が存在。イギリス海軍にとって重要な場所です。

 イギリス海軍では、ロング入り江(ロッホ・ロング)東岸にある従来のクールポート王立弾薬庫に加え、さらにロング入り江を北上したグレンマランに、新たな弾薬補給用の桟橋「北部弾薬桟橋」を建設。空母クイーン・エリザベスは、この北部弾薬桟橋にやってきた最初のイギリス海軍艦艇となります。

 ロング入り江は、クライド湾からの入り口に近いクールポート周辺では2km近い幅があるのですが、奥へ進むにしたがって狭くなり、グレンマランの辺りでは幅がクールポートでの半分以下になってしまいます。海軍基地としては理想的な地形なのですが、空母のような大型艦艇にとっては航行に神経を使う場所。

 左右に山が迫る渓谷のようなロング入り江を、空母クイーン・エリザベスは慎重に進んでいきます。周囲にはパイロット(水先案内)を務めるタグボートがつき、航海艦橋でも乗員が周辺の哨戒を欠かしません。


 グレンマランの北部弾薬桟橋に到着した、空母クイーン・エリザベス艦長のアンガス・エッセンハイ大佐は「クイーン・エリザベスはスコットランドの造船を含む、イギリス最高の技術と職人技の結晶であり、建造の地であるスコットランドを訪れるのは、いつだって特別です」とのコメントを発表しています。

 空母クイーン・エリザベスは、この新しい施設で実戦用の弾薬を積み込み、初の実任務に備えます。3月末に母港ポーツマスに戻った後、2021年後半に実任務の航海として地中海から中東を経由し、東アジア方面へ展開する予定です。

<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright

(咲村珠樹)