アメリカ空軍の多国間訓練「レッドフラッグ21-2」が2021年3月8日(現地時間)、ネバダ州のネリス空軍基地で始まりました。今回はアメリカ軍のほか、シンガポール空軍からF-15SGも参加し、様々なシチュエーションでの戦闘訓練が3月19日まで実施されます。

 レッドフラッグは、ネバダ州のネリス空軍基地やアラスカ州を舞台に、年数回実施されている恒例の訓練。アメリカ空軍の仮想敵(アグレッサー)飛行隊などを相手に、空中戦闘や爆撃機と連携した地上攻撃など、様々なシチュエーションでの戦技を磨きます。

「レッドフラッグ21-2」でネリス空軍基地を離陸するF-35A(Image:USAF)

 3月8日に始まった「レッドフラッグ21-2」は、ネリス空軍基地における2021年2回目のレッドフラッグ。アメリカのほか、シンガポールやスウェーデン、NATO加盟の7か国から約2500名の人員と、約100機におよぶ航空機が参加します。

ネリス空軍基地での「レッドフラッグ21-2」に参加のシンガポール空軍F-15SG(Image:USAF)

 訓練を統括するホスト役、アメリカ空軍第414戦闘訓練飛行隊長のウィリアム・リース大佐は「ネリスでのレッドフラッグ21-2は、主要な同盟国および連合パートナーとの高度な複合演習です。各部隊が一体のチームとなって取り組むことでパートナシップを深め、将来の任務成功に必要な関係を強化できるでしょう」と訓練の目的について語っています。

 今回の訓練ではシンガポール空軍から、第428戦闘飛行隊「バッカニアーズ」のピース・カーヴィンVに所属するF-15SGも参加。参加機の中には、アメリカとの友好を示す両国の国旗を垂直尾翼にデザインしたマーキングの機体もいます。

ネリス空軍基地での「レッドフラッグ21-2」に参加のシンガポール空軍F-15SG(Image:USAF)

 部隊を率いるシェワン・ゴー中佐は、レッドフラッグについて「他国の空軍と一緒に、現実的な訓練環境で戦技を磨く貴重な機会です。訓練では高度な戦術と電子戦を行う相手方のお陰で、より実戦的なものになりました」とコメント。AWACS(早期警戒管制機)や電子戦機EA-18Gが参加することで、訓練内容が充実していることに言及しています。

シンガポール空軍F-15SGのWSO(Image:USAF)

 訓練の相手方になるのは、アメリカ空軍第64仮想敵飛行隊のF-16。スケジュール全体で約1900もの目標や現実的な脅威となるシステム、航空機などが様々な訓練シナリオによって提供されます。

アメリカ空軍第64仮想敵飛行隊のF-16(Image:USAF)

 リース大佐は「我々にとって46年目のレッドフラッグとなりますが、そこから導き出された独自の視点を活用し、許容可能なリスクの水準を超えることなく、あらゆる変化に対応して任務成功へと導くリーダーの育成を続けています。これは大国間の競争において、戦術レベルで非常に重要なものです」とコメントしています。

アメリカ空軍第64仮想敵飛行隊のF-16(Image:USAF)

 ネリス空軍基地での「レッドフラッグ21-2」は3月19日まで続けられ、3万1000平方kmを超える広大なエリアで、様々なシナリオで訓練が実施されます。

<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)