しょーもないことを真面目に語り合う、ということが日常の弊社編集部。たまたま雑談中に「茶碗蒸し」が話題になったところ、編集部員によって「主菜」「副菜」「食後のデザート」と位置づけが違うことに気がつきました。

 卵液をだしで割り、具材とともに器に入れ、蒸しあげる茶碗蒸し。具材は様々ですが、だいたいシイタケやかまぼこ、ギンナンに鶏肉などがポピュラーなところ。

 世の中には「茶碗蒸し定食」なるものが存在する、というところから始まった話なのですが、南九州出身の編集長が「茶碗蒸しが主菜になるの?」と疑問を口にしたところ、関西出身の編集部員は「なりますよ」と返答。どうやら、双方の意識にある「茶碗蒸し」のイメージに差があったようです。

 さらに東北(宮城県)出身の編集部員は「食後のデザート的な」と、これまた違った茶碗蒸しのイメージを披露。

■ みんなはどう位置づけているのか?簡易アンケートをとってみた

 これは“地域差とは断定できない”ものの、茶碗蒸しの位置づけがそれぞれ違うのかもしれない……と思い、Twitter上で「あなたにとって茶碗蒸しの存在は?」という簡易アンケートを実施してみました。用意した選択肢は「メインのおかず」「副菜扱い」「食後のデザート」「その他」の4つ。

 実施は24時間と少々短い時間のアンケートだったにもかかわらず、合計で682票が集まりました。

 内訳は「副菜扱い」という回答が最も多く、79.9%。続いて「メインのおかず」が10.7%で続き、8.2%が「食後のデザート」というもの。ちなみに副菜扱いには関西出身の方も名乗りをあげていました。関西でも人によっては主菜・副菜で捉え方に差があるようです。

 この手のアンケートでは、選択肢に当てはまらない「その他」の1.2%に興味深い回答が隠れているものです。今回、その他の回答で多かったのが「汁物の代わり」というもの。実際、日本料理では「汁物」に分類することもあるといいます。

 また「甘くて栗の甘露煮が入っている青森の茶碗蒸しは、一緒に出てきても、最後に食べるので、デザート扱いと言えますね」という回答も。青森によく行く筆者、確かに青森で食べた茶碗蒸しには栗の甘露煮が入っていたなぁ……と思い出しました。

アンケート結果(n=682)

■ 各地の茶碗蒸し

 ちなみに九州でも長崎料理の老舗「吉宗(よっそう)」では、立派な主菜として扱っています。小さな丼いっぱいに入った茶碗蒸しと、ほぼ同じ大きさの蒸し寿司(九州の蒸し寿司はちょっと甘い)がメインとなった「夫婦蒸し」という茶碗蒸し定食が、慶応2年の創業以来名物として知られています。

銀座吉宗の茶碗蒸しと蒸し寿司「夫婦蒸し」

 他にも茶碗蒸しの中でも、具材にうどんが入った「信太蒸し(おだまき蒸し)」や、大ぶりに切った豆腐を具材にし、仕上げにくず餡をかけた「空也蒸し」という料理が知られています。鳥取県では茶碗蒸しの具材に春雨を使うのが特徴で、鳥取県の食文化を紹介する公式サイトでも紹介されています。

 静岡県袋井市には、同じ卵液とだし汁を使った「たまごふわふわ」というご当地料理(江戸時代にあった料理を復活させたもの)があります。材料のうち、だし汁を牛乳に変えるとカスタードプリン(蒸しプリン)にもなり、卵の蒸し料理というのは意外と各地で見られるもの。茶碗蒸しの位置づけが異なるのも納得ですね。

<参考>
長崎吉宗 銀座吉宗 公式サイト
鳥取県市場開拓局食のみやこ鳥取県春雨茶わん蒸し
静岡県袋井市公式サイト 袋井宿「たまごふわふわ

(画像・文:咲村珠樹)