「ハッピーバレンタイン! 私からフォロワーのみなさんへの気持ちです (これ何か分かるかな?)」

 こんな“メッセージ”とともに、Twitterユーザーの飴しばさんが2月14日に投稿したのは、両手を覆い隠すようなサイズのハート型のチョコレート。どうやらハート部分はパッケージのようです。中にはベリーなどを用いて、大小さまざまな「チョコカップ」で詰め合わせたチョコアソートとなっていますね。

 さらに至るところで、所狭しと様々な色で彩られたチョコの姿。「1月後半から作り始めたんですよ」と飴しばさんが語るのも納得の大作です。私事ながら、筆者は以前、製菓関係の仕事に従事していましたので、このチョコたちが何であるかは分かりますよキリッ。

 と、ドヤ顔で言いたいところなんですが、飴しばさんが手に持っている「バレンタインチョコ」は本物のチョコレートではないんです。このチョコの「正体」はプラモデル。それも「ガンプラ」こと、ガンダムのプラモデルで作られたもの。

 「昨年からガンプラの楽しさに目覚めました!」と語る飴しばさんが、今回6体目のファンアート機体として選んだガンプラは、2021年1月23日に発売された「RG(リアルグレード)ジオング」。“初代”こと、機動戦士ガンダムにて、「赤い彗星」こと、シャア・アズナブルが、劇中で最後に搭乗した機体でもあります。そんなジオングですが、機体の構造にちょっとした特徴が。

 「ジオングって、『スカート部分』がハート型なんですよ。以前、Twitterのタイムライン上でジオングの写真を見かけたときに、そのことに気づいて作りたくなったのがきっかけだったんです」

 それは知らなかった……!飴しばさんの語る「スカート部分」というのは、ジオングの脚部にあたる部分。「あんなの飾りです」の名フレーズでもお馴染みのこの部分ですが、飴しばさんは、実際に飾り付けをすることを決意。

 まず、「やっぱりハートは赤かな」ということで、“外装部分”は赤系統の色にコーティング。さらに、「スイーツカップに見えたので」と、大小計7つあるバーニア内部は、レジン細工を散りばめて、彩り鮮やかなチョコカップに変貌。その他の部分も、ネイルアートなどに用いるミラーパウダーを使い、どれもおいしそう?なチョコレート。

 結果、RGジオング特有のギミック感溢れるバーニア部分は、高級菓子店で取り扱っていそうなチョコスイーツに様変わり。

 これだけでも、十二分に見応えのある「バレンタインチョコ(バーニア)」なんですが、飴しばさんの飽くなき探求心はこれだけでは終わりません。なんとこの「バレンタインコーティング」を、ジオング全体にも同様に施したのです。

 “答え合わせ”も兼ねて、その日の夜に全容を公開したTwitterの投稿には、グレーがかった“オリジナル”から大きく変貌した「バレンタイン・ジオング」の姿。赤にピンクにブラウンといった、「チョコレート」に所縁のあるカラーで塗装されたそれは実にガーリー。

 それでいて、ビーム砲が搭載されている指先部分を使い、「ハート」のポージングをしたりと、飴しばさんの意欲作に、筆者はただただ目を奪われるばかり。とはいえ、シャアの「パーソナルカラー」といえば赤。ある意味これは、「正統派」のアレンジなのかも?

 余談ですが、今回お話を聞くにあたり、飴しばさんは自身のことを「雑な性格」と評されていました。しかし一方で、「見えない部分は塗らずに楽をしようと思っていたんですが、『ここも見えるのか!』と次々に目について、結果追加で塗ってばかりで大変でした(笑)」とも語ってくれました。雑とは……?

 そんな飴しばさんの飾り付けには、Twitter上の多くの整備兵が一瞬錯覚しつつも反応。そのハイセンスぶりには、惜しみない賞賛と、1万を超えるいいねが寄せられました。

 多くのTwitterユーザーに、「足は飾り」であることを認識させた飴しばさんですが、これまでに製作した5体のガンプラもまた、独創性にあふれたファンアート。

 そんな中で、「一番大好きなやつなんです!」と熱く語るMS(モビルスーツ)が、1995年から1996年にかけて、テレビ朝日系列で放映された「新機動戦記ガンダムW」にて、ゼクス・マーキス(ミリアルド・ピースクラフト)とトレーズ・クシュリナーダが搭乗した「トールギス」。

 ゼクスの搭乗した1号機は、全身を黒で塗装。さらにメイン武装の「ドーバーガン」は、武器全体をまるでモーニングスターのごとく、刺々しい武装にした結果、その姿は「釘バット」のような様相に。これだと、仮に戦場で弾薬が切れても、打撃武器として活躍しそうですね。

 ちなみに、トールギスといえば、どことなく騎士を連想させるような気品ある見た目が特徴的で、筆者も大好きな機体です。しかし、飴しばさんのそれは、真逆のダークヒーロー感に溢れた姿に。とはいえ、ゼクスといえば、W劇中で「ミリアルド・ピースクラフト」として振舞っていく過程を考えると、この配色も、ある意味でゼクスという人間を体現しているのかもしれません。

 反対にトレーズの搭乗した2号機に関しては、白を基調とした全身はそのままに、機体にあらゆる部分に花柄模様が。飴しばさんが「モヒカン」と形容する、金のアンテナ部分がより引き立つ、フラワーアレンジメントあふれたトールギスに変貌。こちらは、先述のジオングのようにガーリーさを感じさせるいで立ちですが、トレーズといえば、「エレガント」を見事なまでに体現したキャラクター。少々無骨がかった“オリジナル”に対して、そんな「エレガント感」を強調したアレンジともいえますね。

 さらに、「これも自慢の作品です!」と語る、2015年から2017年にかけてTBS系列で放映された「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」にて、主人公三日月・オーガスの搭乗機である「ガンダム・バルバトス」に関しては、全身をガンメタルと赤にアレンジ塗装を施した上に、自身の爪部分も、それに合わせてネイルアート。

 バルバトスといえば、白を基調としながらも、それまでのガンダムとは一線を画す細身のボディが印象的ですが、飴しばさんはガンメタルと赤を同じ比率で塗装を施すことで、サイバーパンク世界に出現するようなSFチックなバルバトスに。主要武器である「太刀」も同様の配色にしているため、その配色がより引き立つ構図となっています。

 いずれも、ジオングに負けず劣らずのクオリティ。まさに、「ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」を地で行く作品たちです。細部にまでこだわったディテールには、「本当に雑な性格なのか……?」と思わず疑念を抱いてしまうほど。しかしそこは、飴しばさんの元々の趣味が影響しているそう。

 「元々私は、美少女フィギュア収集が趣味で、生花(せいか)やスカートを背景に撮影した写真をTwitterにアップしていたんです。ただ、美少女フィギュアだと、パーツ破損や紛失はご法度で、傷がついたら手直しも必要です。でもガンプラの場合だと、そういった部分も『兵器だから傷も剥げも部品欠損もおっけー!』って思えるんです。私にとっては、そこはとても新鮮な考え方で、ある意味『気楽』なんです(笑)」

 そう語る飴しばさん。とはいえ、先述のジオングでは、気になったところは細かな部分でも徹底的に塗装を追加で行ったり、バルバトスの際にも披露していた爪部分に、それぞれの指で異なるネイルアートを作品ごとに都度施したりと、文字通り指先までにこだわった繊細なタッチには、「雑さ」を到底感じることが出来なかったのは筆者だけでしょうか。

 そんな飴しばさんですが、7作目以降も現在鋭意製作中。「元の作品設定とは違う、独自の世界観を構築しても自由なガンプラの世界が本当に楽しいんです!」と最後に語ってくれた飴しばさんの、個性と作品愛に満ちた次回作を心待ちにしたいと思います。

<記事化協力>
飴しばさん(@ame_shiba)

(向山純平)