駅や病院などで多く見かけた公衆電話。昭和から平成の途中にかけては、街中で見かける「電話ボックス」でもお馴染みの存在でしたが、携帯電話の普及により、その多くが姿を消しました。

 令和日本においては、見かける方が逆に珍しく感じるほどです。しかし、“もしも公衆電話に心があり現代に生きていたら?”それを表現した哀愁ただよう写真が反響をよんでいます。

 「自立しなくて失敗したので載せますね。携帯が普及して公衆電話を使う人が減ってしまった。ならば自ら客を得ようと受話器を引きずって歩き続けた公衆電話の最後の姿という妄想。雨の日も風の日も歩いたんだろうなぁ」

 こうTwitterに投稿したのは、りんごさん。

昭和~平成の途中まではお馴染みだった公衆電話も、令和の世になると痛々しい姿に。

 この投稿には1枚の写真がそえられていました。そこには、筆者も幼少の頃によく見かけた、緑の公衆電話が。しかしながら、長年忘れ去られた存在となり、“野ざらし”になっていたためか、電話機の至るところが朽ちて痛々しいものに。

 受話器も地面に垂れ落ちてしまっているなあ……とよくよく見てみると、この公衆電話、電話機の底部分からまるで足のようなものがニョッキリ。ま、まさか最後の雄姿を見せようと、自我が芽生えて自足するように……?

 と、冗談はこの辺にして、こちらの公衆電話はもちろん“本物”ではありません。これは2020年12月にタカラトミーアーツより発売された「NTT東日本・NTT西日本 公衆電話ガチャコレクション 増補版」の「MC-3P(アナログ公衆電話機)」に手を加えて制作したもの。

 さてそんな公衆電話ガチャですが、投稿者のりんごさんは、元々購入したものをそのまま棚に飾っていたそうなんですが、あるとき「何か面白い飾り方はないかな」と思うように。そこで考えついたのが、粘土で作った「2本足」を、公衆電話にくっつけて「自足型」にするというもの。

 さらに電話機本体には、アンティークメディウムという塗料に、漫画用の墨汁を用いて、匙加減に気を使いながら「ダメージ加工」を施し、朽ち果てたような様相のものへアレンジ。

 これに先ほどの足の粘土を合わせたのですが、バランスが悪く“自立”が出来なかったために、りんごさんはさらにレンガ状の壁を用意し、もたれさせる“演出”を追加。

 これにより、「歩き続けたけど、途中で力が抜けて、正に今止まってしまった感じが出たので、かえって自立しないのが良かったのかなと」りんごさんが解説されるような哀愁漂う「自立公衆電話」に。これにはかつてお世話になったTwitterユーザーが続々と反応。

 リプライ(返信)欄には、「切ないです」「壁に寄り掛かっているのが一層哀愁漂って見えますよ」「こんなボロボロになるまで……お疲れ様でした」「なんか、心にくる何かを感じました」「あ…あ…お疲れさま電話」といった惜しむ声が寄せられ、さらにいいねは4万を超え、大きな反響となりました。

他にも様々な場所で「自足公衆電話」を撮影した投稿者。

 多くのTwitterユーザーの郷愁をからさせたりんごさんですが、自身のYouTubeチャンネルには制作途中や、堤防などで撮影した様子の動画も公開しています。

https://twitter.com/55Ringoame0v0/status/1357308017985814531

https://twitter.com/55Ringoame0v0/status/1358041447753154560

<記事化協力>
りんごさん(@55Ringoame0v0)

(向山純平)