1983年2月から1984年1月にて、テレビ朝日系列で放映されたロボットアニメ「聖戦士ダンバイン」。

 中世ヨーロッパを連想させるような異世界「バイストンウェル」と現代世界とが混じり合った世界観に、昆虫をモチーフにした人型ロボット「オーラバトラー」、そしてMIQ氏(当時の名義はMIO)の熱唱でもお馴染みのオープニングソングも相まって、放映から40年近く経った現在も根強い人気を誇ります。

 そんな昭和の名作「ダンバイン」を、平成生まれの「メカトロウィーゴ」で再現した作品が、令和のTwitterを賑わせています。

 「#見た人もなにか無言でダンバインをあげる え?違う?」

 近頃のTwitterにおいて、一種のブームとなっている「見た人もなにか無言で○○をあげる」というハッシュタグを用いて、Twitterに投稿したのはko8 in the skyさん(以下ko8さん)。

 趣味で模型作りをされており、その作品を自身のTwitterに都度公開しているko8さんですが、この日投稿したのは、「つぶやき」にもある通り、冒頭の「聖戦士ダンバイン」に登場する機体(オーラマシン)「オーラバトラー」に関する4枚のファンアート画像。

 まず1枚目に写っていたのが、タイトル名にもなっている「ダンバイン」。カブトムシを連想させる頭部のアンテナに、メイン武装のオーラソードとオーラショットがやはり目を引きますね。オーラバトラー特有の「生物感」のあるフォルム。何度見ても素晴らしい。最高にイカしたオーラマシンです。

 しかしながらこのダンバイン、よくよく見ると、全体的に丸みを帯び、かつ胴体も寸胴サイズのフォルムです。ん?この形状、既視感があるぞ……?

 実はこれ、静岡県にある模型メーカー「ハセガワ」が販売展開しているプラモデル「メカトロウィーゴ」をベースに、『ミキシングビルド』と呼ばれる、複数のプラモデルキットを組み合わせて作り上げたその名も「ダンバinウィーゴ」。ダンバインウィーゴの中には、“オリジナルダンバイン”のプラモデルが文字通り「in」しているんです。

 その内部を写したのが、今回のko8さんの投稿における2枚目と3枚目の画像。まず2枚目には、ダンバインウィーゴの口元が「開放」。するとそこには、まるでオーラロードが「解放」したかのごとく、ダンバインの姿がチラリ。

 3枚目はそれに合わせて、コクピット部分もまた開放。そこには、ショウに加え、相棒でもあるミ・フェラリオの妖精「チャム・ファウ」の姿。ちなみにダンバインといえば、劇中前半では主人公「ショウ・ザマ」の、そして後半では、ヒロイン「マーベル・フローズン」の搭乗機なんですが、馴染みのある前者になっています。チャムもそれに合わせて、“普段着”のレオタード姿に。

 もうこれだけでも、筆者のような「ダンバインファン」にとっては目を奪われる作品なのですが、ko8さんは他にも2体の「オーラバトラーウィーゴ」を製作。それが4枚目の写真。

 そこには、ダンバインの両脇に構えるオーラバトラーたちが。左側は、てんとう虫のようなフォルムが特徴的で、「初の量産型オーラバトラー」でもある「ドラムロ」のようです。甲虫をモデルとしているため、やや硬質感の感じられるオーラバトラーですね。

 そして右側に写っていたのが、ダンバイン劇中後半でショウが搭乗することとなる「ビルバイン」。ロボットとしては「王道」なんですが、昆虫ベースの曲線的なデザインなオーラバトラーとは一線を画す「機械的」なフォルムもあって、独特の存在感を見せています。どちらも、ウィーゴの部分から「in」されているオーラバトラーがチラリと見えますね。

 余談ですが、ビルバインといえば、オーラバトラーの中でも、唯一「変形機構」のある「可変オーラバトラー」でもあります。とはいえ、いくらミキシングといえど、これを再現するのは少々難しいのでは……と思いきや、ko8さんは、「ビルバインウィーゴ」をそんな「ウィングキャリバー」に変形可能な構造にされています。マジかよ……ゴクリ。

 上記2機についても、口元から「オーラバトラー」がチラリと写るミキシングビルドスタイル。それでいて、「ダンバイン」と「メカトロウィーゴ」双方の魅力が存分に伝わるモデリングです。

 ちなみにメカトロウィーゴは、3D造形家の小林和史氏を中心として、2011年に「メカトロウィーゴプロジェクト」として発表されて以降、先述のプラモデルに加え、アニメや漫画などのメディアミックス展開もなされている平成が産んだ人気作品。

 SNS上では、“ウィーゴ沼”にハマった多くのウィーゴ愛好家たちによって、様々な「アレンジウィーゴ」が投稿され、実にモデリズム溢れる世界となっているんですが、今回のko8さんの投稿は、その中でもとりわけ大きな反応が。

 中でも、多くのダンバインファンが「召喚」されたようで、リプライ(返信)欄には、オーラロードを開きそうになったり、OPが脳内再生されたり、チャムの姿に目を奪われたり、ショウのライバルであるトッド・ギネスの名セリフを不意につぶやいたり、バイストンウェルが見えるようになったり……と、そのギミックに魅了される方が続出。筆者もオーラ力を蓄えすぎて、うっかりハイパー化しそうになってしまいました。

 この反響にはko8さんもびっくり。「放映当時にアニメ雑誌で見てからのファンなんですよ」という「聖戦士ダンバイン」を、「Twitterをやり始めてから知って、小林和史さんに『いいね』をいただいてから、どっぷり沼にハマっちゃいました(笑)」という「メカトロウィーゴ」にて、先述のミキシングを用いて再現したのですが、作品に関してはとあるこだわりが。

 「自分がミックスする場合は、『ウィーゴ7割』の配分でやっているんです。ダンバイン以外も、ガンダムやナウシカなどでやっているんですが、ウィーゴを溺愛しているのもあって、その良さは消さないように意識していますね」

 とのこと。確かに今回の「ダンバinウィーゴ」に関しても、ウィーゴ本来の丸みがかった愛らしいデザインはそのまま。ko8さんの投稿のリプライ欄でも多く見かけた「可愛い」というイメージもしっかりと残っています。また、カラーリングに関しても、ウィーゴのベースカラーである「スカイブルー」で統一。

 その上で、残りの“3割”で、オーラバトラー特有の「生物感」を感じられる独特のフォルムもしっかりと再現。この絶妙なバランス感覚は、そうそう簡単に出来るものではありません。

 ちなみにko8さんは、「初代ガンダムは小学生時代にリアルタイムで見ていて、実は芸大出身で絵を描くことも趣味なんですよ」という方。これはひょっとして歴戦の猛者なのでは……ゴクリ。

 「といっても、大学の専攻は映像系だったので、模型はあくまで趣味です。これまでもプラモは『素組み』オンリーで、色塗りもせずに合わせ目も消すこともありませんでした。でも、ウィーゴのおかげで大好きなキャラをミックスするようになり、道具も凝るようになったんです。この年で、エアブラシ・エポキシパテ・レジンといったものを使うようになりました。『サフ吹いた』とかTwitterでつぶやいていますけど、実際に使い始めたのは一昨年からなんですよ(笑)」

 1年強でこのクオリティだと……?筆者は今回記事を書くにあたり、ko8さんがTwitterで投稿されている様々な「アレンジウィーゴ」をじっくりと拝見したのですが、どれも「ウィーゴ7割」の“不文律”を守りながらも、一目で“ネタ元”がそれと分かるもの。それでいて、「そこをウィーゴで再現するのか!」と、不意に膝を叩いてしまうような着眼点に基づいた作品群ばかり。

 見ていて思わず、「本当に『ここ最近』なのか?」とあらぬ疑いをかけてしまうようなハイクオリティ作品。これも、ko8さんが元来持ち合わせておられるアーティスティックな感覚に、「メカトロウィーゴ」という多くのモデラーに愛される作品によって、「解放」された結果なのかもしれませんね。

 そんなko8さんですが、今回の「ダンバinウィーゴ」に関しては、格別の思い入れがあるとのこと。

 「ダンバインは元々は、それまでの見ていた何とも似ていない、曲線の多いデザインで、すぐに好きになったんです。ただ、大学でデザインの勉強をするようになり、改めてじっくり見てみると、意外と線が少なくて、シンプルで本当に良くできていると感じるようになりました。そしてそれにウィーゴをミックスすると、すごくマッチしてカッコよかったんです。ちなみにビルバインは、元々は『らしくない』デザインもあって、放映当時はそこまで好みじゃなかったんです。でもウィーゴのおかげで、良さを認識できました(笑)『ダンバinウィーゴ』はまだ3体しか作れていないんですが、これからも『ライフワーク』としてどんどん作っていきたいですね」

 と、熱く語ってくれたko8さん。確かにダンバインに登場するオーラバトラーというのは、他にもレプラカーン・バストール・ライネック・ビランビー・ボチューン……などなど、数え上げたらキリがないほど魅力的なマシンが目白押し。

 筆者も、「作品を見ていただきクスっと笑っていただけたら」というko8さんの次回作を心待ちにしたいと思います。

<記事化協力>
ko8 in the skyさん(@ko8inthesky)

(向山純平)