フランス航空宇宙軍は2021年1月11日(現地時間)、2019~2025軍事プログラム法(防衛力整備計画)で進められていたミラージュ2000Dの中期改修計画で、改修が適用された1号機が1月7日に第118モン=ド=マルサン空軍基地へ到着したと発表しました。改修されたミラージュ2000Dは、2030年代の次期戦闘機SCAF(FCAS)就役まで現役にとどまります。

 フランスの策定した2019〜2025軍事プログラム法は、2025年までの陸海空(宇宙)における防衛力整備計画を示したもの。この中で海軍と航空宇宙軍の航空戦力のうち、戦闘機はラファールとミラージュ2000を合わせて225機体制を維持することが定められました。

 このうち、航空宇宙軍のラファールは、現在配備が進められているF3-Rに加え、さらなる能力向上型「F4」の開発が2019年1月にスタート。これに先立つ2016年9月には、対地攻撃を担うミラージュ2000Dの中期改修計画がダッソー・アビアシオンとMBDAに発注され、55機を対象に最新のミサイルや精密誘導爆弾運用能力などが付加されることになりました。

 改修は、フランス軍事省の装備総局(DGA)と航空宇宙軍軍事航空専門センター(CEAM)、受注企業のダッソー・アビアシオン(機体全体のコーディネート)とMBDA(火器管制装置)が連携して進められました。最新の対地攻撃兵器や次世代空対空ミサイルMICAの運用能力付加のほか、より直感的で分かりやすいインターフェイスを採用した航法・火器管制装置が搭載されています。

 これにともない、コックピット計器も改修されました。特に顕著なのが、後席の兵装士官用コクピット。2面のタッチパネル式ディスプレイはOSにWindowsが採用され、正面にある大型ディスプレイはWindowsタブレットをそのまま取り付けたような感じになっています。

 第118モン=ド=マルサン基地に到着したミラージュ2000D改修1号機は、消防車による放水アーチに出迎えられました。今後この改修機は航空宇宙軍の手により、約1年にわたる運用試験を実施することになっています。

 フランス航空宇宙軍では2022年中を目標に、第3航空団所属のミラージュ2000Dを改修し、実戦展開可能な状態にすることとしています。ミラージュ2000は原型機が1978年に初飛行していますが、半世紀を過ぎる2030年代に入っても現役を続けます。

<出典・引用>
フランス航空宇宙軍 ニュースリリース
Image:フランス航空宇宙軍/ダッソー・アビアシオン

(咲村珠樹)