1月は窒息による死亡者が他の月に比べると段違いに多く発生しています。その多くは、お餅。元日にも既に窒息死したという報道が出ており、毎年必ずと言っていいほど窒息者が出ています。そこで、一般社団法人日本レスキューボランティアセンターが運営するツイッターアカウント「JRVC救急アドバイザー」のツイートから、のどに詰まった時の対処法をお伝えします。

 「餅をノドに詰まらせたら…背部叩打法!肩甲骨と肩甲骨の間を、4、5回連続で、押し出すという気持ちを込めて、思い切り叩くんだ!!相手が高齢者でも子供でも、ためらいも遠慮も要らない!なぜなら、一刻も早く気道を開通したいから!もちろん救急車も呼んで」

 と、イラスト付きで救助方法を解説しています。体が動かないようにしっかりと固定してから、力いっぱい押し出すつもりで肩甲骨の間の部分を叩きます。ここで大事なのは、「こんなに叩いたら骨が折れてしまうのでは?」という気持ちは捨て去り、体が吹っ飛ばないようにがっちり固定してからとにかく思い切り叩く事。もちろん、居合わせている他の人は救急車を呼ぶ事もお忘れなく。

 骨は後からくっつきますが、窒息死したらもう命は二度と戻りません。だから躊躇する間もなく、窒息を確認したら「背部叩打法」を用いましょう。これは救命救急士も行う常套手段。JRVC救急アドバイザーアカウントの中の人は、救急救命士・防災士・元消防官で現在は大学にて教鞭をとっています。

 その中の人も、過去に何度ものどに餅を詰まらせた人の救命にあたった事があるそう。その経験上、「特につきたてのお餅は粘り気があって、救急隊が持っている器具でも取りにくかった」との事。お雑煮で食べられる餅は、焼いたものも茹でたり煮込んだりしたものもあり、各地に特色がありますが、焼いた餅よりも茹でたり煮込んだ餅の方が粘り気が増して、つきたてのお餅に近い状態となります。

 粘りが強く、のどいっぱいに塞いでしまう餅は気道を確実に塞いでしまうため、一刻を争う事態と心得て除去する必要があります。よく、「掃除機で吸い出せばいいか?」という質問も受けるそうですが、「掃除機を準備する時間ももったいないですし、掃除機の吸引力で舌を吸ってしまうなど上手く扱えず、弊害もあるので背部叩打法をお勧めしたいです」との事。

 こうなる事を予防するためには、

・ 幼児や高齢者、かむ力や飲み込む力が弱い人には餅を食べさせない。

・ 餅をどうしても食べたい、という事であれば、とろみを付けた汁ものと一緒に、小さめのサイコロサイズに切って焼いた餅やしゃぶしゃぶ用の薄い餅など、細かいサイズにしたものを一口ずつ食べさせる。

・ 早食い傾向がある人には、口の中に餅をため込んでいないか注意する。

といった配慮を行ったうえで食べてもらう、くらいは確実に行いましょう。

 1月は雑煮から始まり、鏡開きなど餅を食べる機会が他の月よりも格段に増える時期。楽しい団らんの時間を悲しい時間に変えないよう、注意を払って楽しい食事ができるといいですね。

<記事化協力>
JRVC救急アドバイザー(@JRVC_EMT)さん

(梓川みいな)