ペルシャ湾で活動しているアメリカの巡航ミサイル原潜ジョージアが、2020年12月27日にバーレーンの首都マナーマに寄港しました。12月21日にペルシャ湾入りした原潜ジョージアにとって、これが初めての寄港。ジョージアのバーレーン訪問は2009年以来、約11年ぶりのことです。

 バーレーンはペルシャ湾岸における親米国の1つで、アメリカ海軍第5艦隊の司令部があるほか、ペルシャ湾を挟んだ対岸のイランとは、イランがバーレーンを歴史的に領土とみなす姿勢を示していたことから微妙な関係にあります。2020年9月にはアメリカのポンペイオ国務長官訪問がきっかけとなり、UAE(アラブ首長国連邦)に続いてイスラエルとの国交正常化に合意しています。

 アメリカ海軍の発表によると、今回のジョージア寄港の目的は食料など消耗品の補給と、乗員の休息。閉鎖された環境で外を見る機会もあまりない潜水艦は、乗員にとってストレスの大きい環境のため、寄港して上陸し、気分転換を図る必要があります。

 ジョージア艦長のロブ・ピータース大佐は「ジョージアの乗組員は2020年に戦列復帰を果たして以来、第5艦隊エリアに前方配置されて臨戦態勢のプレゼンスを提供し続けるため、懸命に働いてきました。バーレーン寄港は、この地域のパートナーと海洋安全保障に関する私たちの取り組みを示すと同時に、乗組員にしばしの休息を与えるものです」とコメントしています。

 バーレーンで乗組員たちは、アメリカ国防総省やバーレーン保健当局の指針に従い、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ方策として、マスクの着用や十分な対人間隔の確保といった基準を厳守。その中で、食事やレクリエーションなどを埠頭で楽しんだといいます。

 潜水艦ジョージアで先任伍長を務めるアーネル・ブラントレー上級上等兵曹は「バーレーンへの寄港は、クリスマス休暇に乗組員が十分な休息を取り、それぞれの大切な人々と話す機会が得られる絶好の機会となりました」とコメント。乗組員たちは十分に英気を養えたようです。

 ジョージアが配属されている第5艦隊の潜水艦部隊、第54任務部隊(Task Force 54)参謀長のティム・ポウ大佐は「ジョージアは何か月もの間、この地域の見える場所、また見えない場所で活動してきました。ペルシャ湾岸におけるパートナー国の1つで、寄港の機会を十分に楽しめたことでしょう」と語っています。

 潜水艦部隊である第54任務部隊は、ペルシャ湾をはじめとしたアメリカ中央軍が担当する中東地域のほか、日本近海も活動範囲としており、エンブレムには「JAPAN – BAHRAIN」と記されています。潜水艦部隊は水面下の活動が主になるため気付きにくいのですが、地域の平和と安定を文字通り下から支える存在であるといえるでしょう。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)