イタリア空軍は2020年12月22日の19時(現地時間)より、曲技飛行チーム「フレッチェ・トリコローリ」の2021年シーズンにおけるメンバー発表イベントをオンラインで生配信しました。チーム創設60周年という記念の年を、飛行隊長ほか総勢12名のパイロットが担当します。

 イタリア空軍のフレッチェ・トリコローリは、ヨーロッパ各国の空軍が組織する曲技飛行チーム(アクロバットチーム)の中でも、ハイレベルの技量で知られるチームの1つ。正式名称は「第313曲技訓練飛行隊・国立曲技飛行チーム(313° Gruppo Addestramento Acrobatico, Pattuglia Acrobatica Nazionale)」といい、空軍内では「PAN(Pattuglia Acrobatica Nazionale)」の略称も使われます。

 第二次世界大戦後、イタリア空軍では各航空団が独自に曲技飛行チームを作り、エアショウなどで妙技を披露してきました。そのうちの1つ「ディアボリ・ロッシ(赤い悪魔)」のリーダーだったマリオ・スクァルチーナ氏が空軍参謀となった際、空軍全体からパイロットを選抜して国を代表する曲技飛行チームを作ることになり、1961年3月1日に発足したのが「フレッチェ・トリコローリ」です。

 創設当時から、イタリア北部ウーディネ県にあるリボルト空軍基地を本拠とするフレッチェ・トリコローリ。創設60周年となる2021年シーズンのメンバー発表イベントも、リボルト空軍基地の格納庫内で開催されました。

 スポーツでのスターティングメンバー発表のように、ポジション(フレッチェ・トリコローリでは「ポニー」という言葉が使われる)ごとにパイロット名が発表された今回のイベント。2021年のメンバーは以下の通りです。

ポニー0(飛行隊長):ガエターノ・ファリーナ中佐
ポニー1(編隊長):ステファノ・ヴィット少佐
ポニー2:アリフィオ・マッツォコーリ大尉
ポニー3:フェデリコ・ディチェコ大尉
ポニー4:ピエルルイジ・ラスパ大尉
ポニー5:アレッシオ・ギャルシ大尉
ポニー6(第1後尾機):フランコ・パオロ・マロッコ少佐
ポニー7:オスカー・デルド大尉
ポニー8:シモーネ・ファンファリーロ大尉
ポニー9:アレッサンドロ・ソマリーバ大尉(第4飛行隊より新加入)
ポニー10(ソリスタ=単独機):マッシミリアーノ・サルバトーレ少佐
ポニー11(コーディネーター):エマニュエレ・サバニ少佐

 フレッチェ・トリコローリは公式ファンクラブがあり、2020年の会費やその他の収入はイタリア空軍が実施している「空からの贈り物」という慈善事業を通じて、イタリア国内の病院や福祉施設に寄付されました。2021年分は、トリエステのブルロ・ガルフォロ小児病院で、患児やその家族のために活動するボランティア団体「ABCブルロ」に寄付される予定とのことです。

 同時に、2021年シーズンの公式ポスターと公式パンフレットも公開されました。創設60周年を記念して、従来の倍となる120ページのボリュームとなったパンフレットの表紙は、1963年〜1982年のフィアットG-91時代のヘルメットと、その後から現在まで使用しているアエルマッキMB-339時代のパイロット用ヘルメットを組み合わせたもので、これまでの歴史を象徴するデザインとなりました。

 チームは近い将来、新型練習機M-345への機種転換を予定しており、2021年はおそらくMB-339でのぞむ最後のシーズン。フレッチェ・トリコローリの2021年版パンフレット(PDF)は、イタリア空軍公式サイトからのリンク(Googleドライブ)でダウンロード可能となっています。

<出典・引用>
イタリア空軍 ニュースリリース
Image:イタリア空軍

(咲村珠樹)