アメリカ海軍は、巡航ミサイル原子力潜水艦ジョージアが2020年12月21日、巡洋艦ポート・ロイヤル、巡洋艦フィリピン・シーとともにホルムズ海峡を通過し、ペルシャ湾内に入ったと発表しました。通常、潜水艦の行動は機密情報で公式に発表されることはありませんが、異例の発表の背景には、イランに対する牽制の意図があるようです。

 潜水艦ジョージア(SSGN-729)は、オハイオ級弾道ミサイル原子力潜水艦の4番艦として1984年に就役。1993年に米ロ間で調印された第二次戦略兵器削減条約(START II)により、弾道ミサイルの保有数が制限されたため、弾道ミサイルの代わりに巡航ミサイルを搭載する仕様に改装され、2008年に戦列復帰しています。

 現在、ジョージアの主要兵装となっている巡航ミサイル、BGM-109トマホークは最大154発が搭載可能。このほか、艦首に4本の魚雷発射管を有しています。

 この地域を担当するアメリカ中央海軍(第5海軍)司令部の発表によると、潜水艦ジョージアがペルシャ湾に入ったことは通常任務の一環だとし、アメリカ海軍は国際法のもと、自由に航行する能力を有していると示すものだとしています。同時にアメリカ海軍は、いつでも脅威から地域のパートナーを防衛することができ、海洋安全保障に関与する姿勢も示しているとのこと。

 とはいえ水上艦艇だけでなく、潜水艦がペルシャ湾内に入ったことを公式に発表するのは異例のこと。これに先立つ12月16日〜17日には、サウジアラビア海空軍との共同訓練をアラビア海で実施しており、アメリカ軍が中東諸国との連携を深め、この地域における存在感を印象付けています。

 これらの行動は、不安定な状態が続くイエメン情勢を含め、中東地域における安全保障の問題にアメリカが深く関与していく、ということを内外に示すものといえそうです。また、核合意からアメリカが一方的に離脱して以来、緊張が高まっているイランを牽制する意図もあると考えられます。

<出典・引用>
アメリカ中央海軍 ニュースリリース
アメリカ中央軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)