筆者はライターとして執筆活動を行いつつ、現役コンビニ店員としても働いていますが、10年コンビニで働くなかでも実は「お金」に関するトラブルに多々遭遇しているのです。借金とかそういう話じゃないですよ? 本稿では筆者がコンビニ店員として体験した「お金に関する」話しを紹介していきます。

■ 旧札、旧硬貨での支払い

 最近、コンビニ関連で増えてきているセルフレジが普及しているからこそのトラブルです。コンビニでは店員がお金を数えて金額を手入力するレジが少なくなり、お金を入れると機械で金額を数えてくれるタイプのレジに変わっていっています。

 その為、旧札や旧硬貨を読み取らないレジも多くなり、一部の店員の居ないセルフレジのみのコンビニでは、近隣のコンビニから従業員が来て、両替を行い対応する。という場合もあります。さらに、機種によっては、2000円札を読み取れないレジも存在しています。

 筆者が体験したものですと、伊藤博文の1000円札、東京オリンピックの記念硬貨、1万円玉(何のかは忘れましたが記念硬貨です)での支払い経験があります。1万円玉での支払いの時には、後日「やっぱり返して欲しい」とのご要望があり、更なるトラブルに発展した事もありました。

■ 汚れや削れで読み込みが出来ないお札、硬貨での支払い

 これも自動でお金を読み取るレジに変わったからこそのトラブルになります。特にお札だと良くある事なのですが、油汚れや水濡れによって、シワが多くなったお札や、何らかの事情で曲がってしまった硬貨、擦り切れて軽くなってしまった硬貨は機械だと読み取れないことがあります。

 特に油汚れによるものが多く、手指の脂や食べ物の染みでも読まなくなるレジもあるので、コンビニ店員経験者は一番経験しているトラブルかもしれません。それぐらい頻発しています。こういったお札や硬貨は入れる向きを変えると読む場合もあるので、何回か入れ替えて試してみたりしています。

■ 海外通貨での支払い

 自動で読み取るレジになってからは殆どなくなっているものの、古いタイプのレジでは未だにあるトラブルです。

 500円玉にそっくりなウォンでの支払いや、10円と色合いが似ているセントでの支払いと、日本円と間違って支払ってしまうというものです。このトラブルは観光地のコンビニでは頻繁に発生しています。

 ちなみに、筆者がコンビニで働き始めてすぐ位の時に、コイン収集が趣味のオーナーさんのもとで働いていました。そのオーナーさんは後で気づくと、笑いながら自費補充をして居たのが印象深かったです。

■ 落書きや欠損したお札

 筆者が特に印象に残ったものを記載していきます。これはお札へ落書きがされていたり、インクジェットプリンターでの印刷、燃やされた跡のある欠損したお札(燃え跡のある半分しかないお札、たばこの火で穴があけられたお札)での支払いをしようとするものです。

 落書きだとお札に「○○(芸能人)へ届け」と記載されているものや、政治に関する個人的主張、念仏、片面を何かで真っ黒に塗りつぶしたもの……さらにはメモ帳代わりにでもしたのかな?と思うようなメモ書きまでみかけたことがあります。

 この落書きパターンは、落書きされている場所によっては機械が読み取ってしまうので、店員も気付かずに他のお客様におつりとして渡してしまう事があります。これにより、別のトラブルが発生することも……。

 ちなみに燃やされた跡のあるお札や片面真っ黒なお札に関しては、当然ながら受け取る前に気付き、受け取りをお断りしています。

 なお、硬貨を故意に傷つける行為は犯罪です。「貨幣損傷等取締法」という法律で厳しく禁じられています。また、“使用目的で”お札を加工(破る、落書き等)する行為は別の罪に問われる可能性があるのでこれもNGです。とにかく、落書きも、破損も使えなくなる可能性が高いのでNG。お店側も大迷惑なので、絶対しないようにしましょう。

 ただし、もし子どもが誤ってやぶいちゃった……という場合には、銀行などで交換に応じてくれる場合があります。「一か八かでコンビニで使ってみよう!」ではなく、素直に銀行窓口に相談してみてください。

■ 大量の硬貨による支払い

 大量の硬貨による支払いは、お店によって対応が異なるので、一概には言えません。まずは先に念を押しておきます。

 そもそも硬貨での支払いは、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第7条で「額面価格の20倍まで」を限度として通用することと規定されています。つまり、同じ硬貨での20枚以上での支払いはコンビニ側でお断りをしても構わないというものになります。

 こうした理由もあり大量の硬貨でのお支払いは「基本的にはお断りしています」が、コンビニのお店によっては善意で了承する場合もあります。

 筆者が体験したものですと、4000円位の商品を購入するのに、50円玉、10円玉と1円玉で支払いをしたいというお客様を対応したことがありました。その時は、オーナーさんの好意で全部数えて対応したものの、お金が足りず、数えるだけ数えて購入はなしということもありました。

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 本稿では、お金に関するトラブルを紹介してきましたが、コンビニの1店員としては「お客様に気持ちよくお買い物して頂くのが一番」だと思っているので、出来る限りの対応はしていきたいと個人的は考えています。でもやはり……お金へのいたずらに関しては、誰に対しても迷惑行為となりますので、絶対に行わないでください。

※お札を破く、燃やすといった行為の罪に関する説明に誤りがありました。この点修正・追記するとともにお詫び申し上げます。(2020年12月20日)

(戦魂)