フランスのマクロン大統領は2020年12月8日(現地時間)、視察先のル・クルーゾで海軍の空母シャルル・ド・ゴールに代わる、次世代の原子力空母の建造計画を発表しました。7万5000トン級の新空母は、アメリカのジェラルド・R・フォードと同じく電磁式カタパルトを装備し、2038年の就役を予定しています。

 フランス東部ル・クルーゾにある原子力企業、フラマトムを視察したマクロン大統領は、視察後の演説で二酸化炭素排出削減策として、フランスは原子力発電を基軸に据えると発言。その一環で、シャルル・ド・ゴールの後継となる新しい空母も原子力推進となる、と発表しました。

 フランスが計画している次世代の原子力空母(PANG)は、全長約300m、全幅約80m、排水量約7万5000トン、原子炉出力220MWで、シャルル・ド・ゴール(全長261.5m、全幅64.36m、排水量4万2000トン、原子炉出力150MW)を大きく上回る規模。原子力タービン3軸推進で、最高27ノットの速力が予定されています。

 乗組員は約2000人を予定しており、次世代戦闘機「SCAF」を約30機搭載。アメリカ海軍の空母ジェラルド・R・フォードと同じく、従来の蒸気式カタパルトに代わり電磁式カタパルト(EMALS)を装備します。核燃料交換のサイクルも、シャルル・ド・ゴールの7~8年より長い10年を予定しています。

 建造の主契約者はナーバル・グループで、開発・設計作業は2021年から始まり、2025年の起工を予定しています。この計画を通じ、約2100人の雇用が確保されるとしています。

 ナーバル・グループのピエール・エリック・ポムレCEOは「フランスが原子力空母を運用できる数少ない国の一員として、その地位を継続するという大統領の決断を歓迎します。この計画は、艦船の推進システムや高付加価値の防衛システムにおいてイノベーションをもたらし、フランスの技術的優位性と先進性を維持するものとなるでしょう。フランス史上最大の軍艦を建造する機会に恵まれ、とても誇りに思います」とのコメントを発表しています。

 就役は2038年を予定しており、それと同時にシャルル・ド・ゴールは退役することになります。新しい空母の艦名は、まだ決まっていません。

<出典・引用>
フランス大統領府 ニュースリリース
フランス軍事省 プレスリリース
ナーバル・グループ ニュースリリース
Image:NAVAL Group/フランス軍事省/U.S.Navy

(咲村珠樹)