猫は思っている以上にジャンプ力があり、意外な高さにまで飛び乗ってしまうこともしばしば。筆者も子猫が家にいた頃、そのジャンプ力に驚いたことがありますが、閉じ込められた部屋から高い位置の障子を破り、玄関まで飼い主のお出迎えをする子猫がいました。

 生後半年ほどになる女の子、梅ちゃんの驚くべきジャンプ力と学習能力の様子をTwitterに投稿したのは、九州在住のにゃぱねっとさん。外出から帰ってきた際の様子を写真付きで、以下のようにツイートしました。

「最近、和室に 梅を閉じ込めて
外出すると 玄関で
出迎えられるようになった
かなり 学習能力とジャンプ力がある」


 写真は破れた障子と、伸びをする梅ちゃん。障子は下半分がガラスになっており、破れて穴が開いているのは上から2段目のマス。障子の基本サイズは幅90cm×高さ170~180cmなので、穴が開いている場所の高さはおよそ150~160㎝くらいでしょうか。下にも修復跡があるので、徐々に高い場所を破っていることが分かります。

 障子紙だけでなく、その裏に補強のために貼られたビニールまで突破してしまう梅ちゃんのジャンプ力。思った以上にすごいのが分かりますが、なぜ部屋に閉じ込めているのでしょうか。これには、梅ちゃんが抱えた事情によるのです。

 梅ちゃんは2020年7月初め、九州地方を襲った豪雨のさなかに、道路の隙間に生じた狭い穴に転落しているのをにゃぱねっとさんが発見し、救出されました。にゃぱねっとさん宅にやってきた梅ちゃん、検査の結果、猫エイズのウイルスに感染していることが分かったのです。

 にゃぱねっとさんのお家には、ほかにも猫さんたちが暮らしています。梅ちゃんを一緒にしてしまうと、ほかの猫さんたちもウイルスに感染する危険性があるため、やむを得ず部屋を別にして隔離しているのです。

 にゃぱねっとさんの愛情を受けて、梅ちゃんはスクスク成長。体長も倍近くなり、救出時に350gしかなかった体重も2.8kgまで増えました。猫エイズは抵抗力があれば、それだけ発症を遅らせることができるため、しっかり食べて抵抗力をつけてもらっているそうです。

 それにしても、こんな高い場所に穴を開けて廊下に飛び出し、玄関で出迎えるというのは、梅ちゃんはにゃぱねっとさんが大好きなんですね。元気なのはいいのですが、ほかの猫さんへのウイルス感染を防ぐため、障子の穴は破られないよう応急処置でふさがれました。

 元気になったのは良いことですが、ちょっとおてんば気味な梅ちゃん。にゃぱねっとさんにとっては、この活発さは嬉しい悩みのようです。

<記事化協力>
にゃぱねっとさん(@288os)

(咲村珠樹)