アメリカ国家偵察局(NRO)の偵察衛星を載せたULAのアトラスVロケットが2020年11月13日(現地時間)、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。2020年におけるNROの偵察衛星打ち上げは、今回が4機目となります。

 今回の偵察衛星打ち上げは「NROL-101」という名で呼ばれています。打ち上げに使用されたのは、ULAのアトラスVロケット。

 アトラスVの通算86回目の打ち上げとなりますが、今回の打ち上げでは、ノースロップ・グラマンの新しい固体ロケットブースター「GEM 63」3本と組み合わされる初めての機会。GEM 63は直径63インチ(約1.6m)、高さ66フィート(約20.11m)で、1本あたり最大168.5トンの推力をロケットにプラスします。

 当初は11月初めの打ち上げ予定でしたが、地上施設の不具合やハリケーンの接近などにより延期。最終的に現地時間11月13日の17時32分、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地の第41発射施設より打ち上げられました。


 ロケットは順調な飛行を続け、予定された軌道へ衛星を投入。打ち上げは成功しました。

 打ち上げ成功を受け、NROで宇宙打ち上げ部門ディレクタを務めるアメリカ宇宙軍のチャド・デイビス大佐は「ふたたびケープカナベラルの地に戻り、ULAや第45宇宙航空団、宇宙軍宇宙ミサイルセンターの人々と打ち上げを成功させることができ、嬉しく思います。今回の打ち上げ成功は、NROが我々の防衛・情報収集のパートナーをサポートするため、重要な国家安全保障システムを絶えず進化させていくという取り組みを示すものです」というコメントを発表しています。

 ULAで政府・商用プログラムを担当するゲーリー・ウェンツ副社長は「ミッションにおけるパートナーであるNRO、そして宇宙軍の継続的な信頼とパートナーシップに感謝します。今回、新しいGEM 63固体ロケットブースターを使用しましたが、これは次世代ロケットのヴァルカン・セントールに向け、我々は重要な経験を積むことができました」とコメントし、新しいブースターが将来のヴァルカンロケットを視野に入れたものであることを強調しています。

 NROの次の衛星打ち上げは、12月に予定される「NROL-108」ミッション。同じくケープカナベラル空軍基地から、スペースXのファルコン9ロケットによって打ち上げられる予定です。

<出典・引用>
NRO ニュースリリース
ULA ニュースリリース
ノースロップ・グラマン ニュースリリース
Image:NRO/ULA

(咲村珠樹)