「地方創生」が叫ばれるようになり幾年か経ちました。昨今のコロナ禍もあってか、「地方発」の商品に関するニュースや、記事を目にすることが増えた方も多いのでは。

 そんな中、日本各地にある名産品を、そこにある地場企業と協業して開発した商品を集めたセレクトショップが、2020年11月1日大阪にてオープン。それにあわせて、内覧会が開催されたので取材に行ってきました。

 大阪メトロ四ツ橋線「本町駅」から、靭公園を越えて歩くこと約10分。鮮やかなライトグリーンで彩られた看板が特徴的な店舗が、今回内覧会が開催される「COTO MONO MICHI AT PARK SIDE STORE」(以下コトモノミチ大阪)。大阪市西区京町堀1-15-23の1Fにあります。

 一見すると、喫茶店のような外観の店舗。しかし店内に入ると、そこには個性的なデザインの商品が、所狭しと陳列されています。

 どれもこれも魅力的で、目移りしてしまうものばかりですが、ふと壁面を見てみると、日本地図にいくつかの都市名が記載。

 さらに窓側の壁面には、「モノづくりを支える人たちをもっと前に」という、店舗コンセプトらしき表記が記された木製の看板もあります。

 実はこの「コトモノミチ大阪」は、日本各地の「名産品」の技術をベースに、消費者の目を引くようなデザインにリファインされた商品を取り扱っている店舗。同ビル2、3階にあるデザインプロデュース会社、「CEMENT PRODUCE DESIGN(セメントプロデュースデザイン)」(以下セメント社)が運営。

 セメント社は、“日本の中小企業の再生と向上を促進する”をテーマに、先述した日本各地の名産品を取り扱っている地場企業とタッグを組み、企画ならびにデザインを行った商品を、製造から販売まで一手に引き受けているデザインプロデュース会社。

 これまでに500社以上の企業と協業していき、従来の名産品とは一線を画した個性的かつ、消費者に目を引く機能性を持たせた商品群が近年注目され、各種メディア媒体にも取り上げられています。

 また社長である金谷勉さん(以下金谷さん)が、自ら「社内インフルエンサー」となり、日々発信される情報もまたSNS上で話題となり、弊社も金谷さんの投稿がきっかけで、以前記事にて紹介しました。

 そんなセメント社、元々「コトモノミチ at TOKYO」という自社のセレクトショップを東京都墨田区で運営していたのですが、このほど「地元」である大阪にも開店することになりました。

 筆者を含めた来場者対応の後、まずは二階にある商談スペースにて、金谷さんによるセメント社についての説明ならびに、コトモノミチ大阪のコンセプトについて説明が行われました。

 それによると、コトモノミチ大阪はこれまでセメント社が築き上げた実績に「食」要素を取り入れた構成にしているそう。

 また、以前金谷さんが出演した経済番組でも取り上げられた、セメント社の商品開発におけるステップや、当該番組のエピローグにて番組MCの方が、金谷さんを評した内容もスライドで紹介されました。

 おおよそ30分ほど説明をうけた後は、再び店舗の内覧タイム。先述した通り、日本各地の名産品とコラボした商品によって展開されている店内ですが、セメント社が初めて商品化した「ハッピーフェイスクリップ」も陳列。

 また、後日金谷さんが自身のTwitterにて投稿した情報によると、今回のオープンにあわせて60個製造されたという、コトモノミチのロゴの入ったオリジナルトートバッグの姿もあります。ちなみにこのロゴは、リボンをモチーフにしたデザインとのこと。

 さらに、弊社が記事にて紹介したこともある、福井県あわら市のリボン製造メーカー「矢地繊維工業株式会社」との協業商品「シオリボン」や、動物をあしらったデザインが個性的な座椅子の「フレンズースツール」といった「SNSで話題」となった商品の姿も。

 そして、「地元」大阪での店舗ということもあり、関西の企業との協業商品も多く展開。全国で関わった企業のひとつとして、金谷さんの著書でも紹介されている大阪府河内長野市の爪楊枝メーカー「菊水産業株式会社」との協業商品「純国産黒ようじ」や、セメント社がアドバイザーを務める神戸市主催の商品開発ゼミ「ものデザインコラボLAB」の参加事業者の兵庫県神戸市にあるカレーチェーン店「神戸マンドリルカレー」も置かれていました。

 この内覧タイム中ですが、筆者はセメント社の方に、少しアテンドしていただきました。その際に「特にイチオシのアイテムは何になりますか?」と聞いたところ、紹介いただいたのが、福井県鯖江市のメーカーとのコラボ商品コーナー。

 店内中心に大きめのコーナーが作られており、力の入れようが伺えます。鯖江市といえば、全国的に有名なのは眼鏡の製造ですが、セメント社がコラボをしたのもそんな眼鏡材料商社。

 ただし、コトモノミチ大阪で展開しているのは眼鏡ではなく、その材料を活かして製造した、爪切りや耳かきといったアイテム。「デザインをプロデュースする」というセメント社のコンセプトらしく、どれもオシャレなデザインで、従来の爪切りや耳かきのイメージとは異なった様相となっています。

 余談ですが、この鯖江の企業との取り組みは、金谷さんの著書にも掲載されているのですが、それについても店内にありました。私も以前拝読したのですが、とても参考になる内容です。

 様々なニーズを意識したラインナップの店内ですが、せっかくなので、筆者個人が気になった商品もご紹介したいと思います。私事ですが、実は私、食品関連の仕事に長く従事した身。ですので、こういった店舗はどうしても「食」関連のものに目が行きがち。先述のマンドリルカレーも含め、食品や食器を見るとつい足を止めてしまいます。

 そんな中で気になったのが、「ステンフレーム」という商品。こちらは、熊本県にあるメーカーとの協業商品とのことで、実は金谷さんが出演した経済番組内でも取り上げられたもの。グリル調理器として、取っ手もあるため持ち運びもしやすいというのは気になるポイント。また、見た目のデザインもオシャレで、インテリアとしても置いてみたい逸品でした。余談ですが、この商品は防災ストーブとしても使えるそうです。

 他にも箸置き、お盆、食事用マットといった様々な「食」に関連した商品が展開。金谷さんが説明会で話されていた通りではありますが、「食」ひとつだけでもこれだけの「協業実績」があるのかと、筆者はただただ感心。どれも足を止めて手を取りたくなるデザインばかりです。

 とはいえ、わずかなスペースでも、「食」以外の商品も展開しているのがセメント社流。フラワーアレンジメントやピンズといった「協業商品」もありました。

 そんなコトモノミチ大阪ですが、元々は喫茶店として運営されていました。ですので、店内にはキッチンも併設されています。今回の内覧会は、ちょうど終わりの時間がお昼ごはん時だったこともあり、「試食」という意味合いも込めて、キッシュとケーキをいただきました。

 撮影した写真データをチェックしながら、キッシュとケーキをモグモグしてみると、これはなかなかのクオリティ。キッシュの具材は鯖だったのですが、臭みもなく、鯖の旨みが凝縮された歯ごたえあるものになっています。これもまた積極的に推せるのでは?と、筆者は、セメント社の方に質問してみたのですが、どうやらフード類は、大手料理研究家監修のもとで作られているそう。なるほどハイクオリティなのも合点できます。

 ちなみに、今後販売展開はどうしていくのかも聞いてみると、ショーケース販売中心でやっていくそうです。余談ですが、コトモノミチ大阪のある大阪府西区京町堀付近は、ビジネス街で先述の靭公園がある立地ということもあり、「持ち帰り需要」が高い地域でもあります。無論コロナ禍を考慮してのものもありますが、このクオリティですと、こちらを目的にされる方もおられるかもしれませんね。

 「商売の街」大阪の地に誕生した「COTO MONO MICHI AT PARK SIDE STORE」。スペースは小さなものですが、そのインパクトは絶大。一度訪れても、決して損することはない店舗構成になっています。

 営業時間は11時から19時までで年中無休。また今回のオープンに合わせて、特設サイトも開設されました。気になった方はぜひご覧になってみてください。

<取材協力>
金谷勉さん(@cementblue)
CEMENT PRODUCE DESIGNさん(@cement__design)

(向山純平)