Go Toトラベル事業で、今までに行ったことのない宿泊施設を利用している方も増えているようです。豪華なホテルや旅館もいいですが、歴史と伝統のある文化財の建物に泊まってみるのはどうでしょう?Twitterで紹介された「泊まれる文化財マップ」が注目を集めています。

 建物が重要文化財や登録有形文化財となっている、宿泊施設の全国マップを作ったのは、Twitterユーザーのぬまさん(@megane_numa)。旅のWEBメディアでカメラマンなどをしていらっしゃいます。

 ぬまさんは、横浜市の山下公園を望む場所にあるクラシックホテル、ホテルニューグランドに宿泊した際、その建物に魅了されたといいます。



 チャップリンら、歴史上の有名人が宿泊したことでも知られ、日独伊三国協定が締結された際には、それを記念したレセプション会場にもなったホテルニューグランド。第二次世界大戦後の日本進駐軍総司令官ダグラス・マッカーサーは、新婚旅行で宿泊したホテルニューグランドが忘れられず、厚木飛行場に降り立ったのち、ここを臨時の執務室としてしばらく滞在しました。

 このような歴史と伝統を感じられる建物に泊まったことで、ぬまさんは泊まれる文化財熱が高まり、全国にある「泊まれる文化財」をまとめ、マップを作ることを思いつきます。Googleマップの機能を使い、泊まれる文化財マップ「ぬまっぷ」を作成しました。

 ぬまさんは「みなさま。完成しました。宿泊できる登録有形文化財(建造物)をマップにまとめました。全111棟で写真付き。抜け漏れあれば教えていただけると嬉しいです( ´ ▽ ` )ノ」とTwitterで告知。

 公開後も情報が集まり、2020年10月24日現在で全135棟となりました。中には三重県松阪市にある「割烹旅館 八千代」公式Twitterアカウントからも「よろしければ弊館も仲間に入れてください」と、登録有形文化財登録証の写真付きで情報が寄せられています。

 マップに記されているのは、北は2017年に惜しくも営業終了してしまった北海道小樽市の「ホテルヴィブラントオタル(旧北海道拓殖銀行小樽支店:1923年築・現:似鳥美術館)」から、南は沖縄県与那国島の入福旅館まで。重要文化財の「東京ステーションホテル(東京駅丸ノ内本屋)」など、重要文化財や登録有形文化財、各自治体の指定する歴史的建造物となっている宿泊施設がGoogleマップ上に記されています。

 ぬまさんはホテルニューグランドのほか、栃木県日光市の日光金谷ホテルにも宿泊したことがあるそうです。今後は東京ステーションホテルや和歌山県串本町の「NIPPONIA HOTEL 串本 熊野海道」、静岡県伊東市にあるゴルフリゾート「川奈ホテル」、山形県尾花沢市・銀山温泉の「能登屋旅館」などに泊まってみたいとのこと。

 このマップを参考に、ぬまさんは「コロナ以前と比較して県外移動に少し抵抗がある方も多いと思うので、普段住んでいる身近な場所にとても素敵な文化財で過ごせる場所があることを知ってなかなか地元に泊まるということはないと思うので、これをきっかに地元の魅力を再認識して欲しいな思っています」とのメッセージを取材時に託してくれました。

 筆者も建物好きなのですが、マップの中では親しみのある石場旅館(青森県弘前市)や鳳明館(東京都文京区本郷)のほか、蒲郡クラシックホテル(愛知県蒲郡市)や奈良ホテル(奈良県奈良市)、金具屋(長野県渋温泉)などに心惹かれます。馴染みのある場所でも、歴史ある建物に泊まることで、少し景色が違ってくるかもしれません。

<記事化協力>
ぬまさん(@megane_numa)

(咲村珠樹)