ロスコスモス(ロシア宇宙庁)は2020年10月10日(現地時間)、10月14日打ち上げ予定のソユーズMS-17宇宙船が、バイコヌール宇宙基地で宇宙船用の推進剤を充填したと発表しました。この後宇宙船は搭載物品(ペイロード)の収納や断熱材の装着、ロケット取り付け部の装着といった打ち上げ前の作業を実施しています。

 2020年10月14日に打ち上げ予定のソユーズMS-17には、ロシアのセルゲイ・リジコフ宇宙飛行士(コマンダー)、セルゲイ・クド=スヴェルチコフ宇宙飛行士(第1フライトエンジニア)、アメリカのキャスリーン・ルビンズ宇宙飛行士(第2フライトエンジニア)が搭乗予定。10月31日にスペースXのクルードラゴンで打ち上げられる、JAXAの野口聡一宇宙飛行士らとともに、国際宇宙ステーション長期滞在ミッションを実施します。

 ソユーズ宇宙船は、バイコヌール宇宙基地内にあるエネルギアの施設で推進剤や圧縮ガスの充填を終え、コンテナに収納されてロケットの組み立てが行われる第254棟に移動。ここで打ち上げ前の最終準備に入りました。


 建屋内には、2020年12月11日に打ち上げを予定している国際宇宙ステーション補給船、プログレスMS-16などの姿も。プログレス補給船は、ソユーズ宇宙船をベースに開発された無人宇宙船なので、本体に記された「ソユーズ」「プログレス」という名前がなければ区別がつきません。


 これに先立つ9月29日、今回が初の宇宙飛行となるスヴェルチコフ宇宙飛行士に対し、国際航空連盟(FAI)による「宇宙飛行士」ライセンス(技能証明書)が交付されました。これは宇宙飛行に向けての訓練課程を修了したことを、国際的に認定するもの。宇宙飛行士はこれを携帯して宇宙船に乗り、国際宇宙ステーションに設置されているスタンプを捺印します。


 ソユーズMS-17に搭乗する3人の宇宙飛行士は、すでにバイコヌールで実際の宇宙船を使った訓練を開始。ソコル宇宙服を着て、実機での操作手順を確かめています。


 ソユーズ宇宙船に欠かせないものといえば、船内に吊り下げておく「ゼロGインジケータ(無重力感知器)」と呼ばれる小さなマスコット。ロケットの燃焼が終了し、宇宙空間で無重量状態になると船内を漂い始めるので、原始的ですが視覚的に「宇宙へ出た」と実感できるものです。今回は灰色のフードをかぶった編みぐるみ人形です。

 ソユーズMS-17の実機を使った、宇宙飛行士たちの訓練は10月8日まで続きます。その後宇宙船はソユーズ2.1aロケットとともに組み立てられ、10月14日の打ち上げに備えます。

<出典・引用>
ロスコスモス ニュースリリース
Image:エネルギア/ロスコスモス

(咲村珠樹)