フランス軍事省は2020年9月11日、空軍に人工衛星など宇宙分野の活動領域をプラスし「航空宇宙軍」とする式典を開催しました。

 航空宇宙軍と改名することは7月に発表されていましたが、第一次世界大戦時のエースパイロット、ジョルジュ・ギンヌメールの命日にあたる9月11日を選んで、正式に発足することにしたものです。

 イル=ド=フランス地域圏にある、第107ヴィラクブレー空軍基地で開催された式典では、パルリ軍事大臣やラヴィーニュ空軍参謀総長らが出席。閲兵の後、新たな「フランス航空宇宙軍」のロゴが発表されました。

 発表されたロゴは、これまでフランス空軍が使用してきた鷹をモチーフにしたロゴを基本とし、その下に地球を示す円弧を書き加えたもの。もちろん、名称表記も「航空宇宙軍」と変更されています。

 あいさつに立ったパルリ軍事大臣は、整列した航空宇宙軍の将兵に対し「みなさんは、これまでの自分自身を超えることになります。2020年7月24日以来、みなさんは航空宇宙軍となりました。発表されたロゴはあなた方を示すものであり、空軍の鷹は大きく飛翔し、宇宙へと上昇しました。この新しい役割に、皆さんが応えてくれることを確信しています」と語り、将兵を激励しました。

 この式典で、フランス国旗と航空宇宙軍の旗を掲げて降下したパラシュート部隊のアレクサンドレ隊長は「短い準備期間でしたが、完璧な降下ができたと思います。ヴィラクブレー基地で、初めて軍旗を空から届けられて光栄です。私はこれまで、衛星を使用したサイバー防衛コマンドに勤務していたので、この式典は個人的にも感慨深いものでした」とのコメントを発表しています。

 航空宇宙軍の制服組トップ、フィリップ・ラヴィーニュ参謀総長は「空軍は誕生したその時から、飛行士は空と宇宙の果てまで探検する運命にある、とされてきました。対立が高度に戦略的となった現在、我々はさらに遠く、宇宙にまで活動範囲を広げる必要があります。宇宙での防衛体制を確立しなければなりません。宇宙空間で何が起きているのか十分に理解し、新たな脅威に対し対応する能力を通じて、宇宙へのアクセスと行動の自由を保障することが重要です」と訓示し、宇宙での優位性を共に勝ち取ろうと激励の言葉を述べました。

 ラヴィーニュ参謀総長は合わせて、フランス航空宇宙軍としての「命令第1号」を発表。航空宇宙軍が目指すべき目標や、心構えなどが示されました。


 フランスは2019年、2019年~2025年軍事整備計画にともない、空軍内に宇宙コマンドを新設し、宇宙での活動を重視する姿勢を見せてきました。今回、空軍が航空宇宙軍へ再編されたことにより、宇宙での監視リソースや自己防衛機能を開発するなど、新たな宇宙戦略に向けて歩み始めたことになります。

<出典・引用>
フランス航空宇宙軍 ニュースリリース
フランス軍事省 ニュースリリース
Image:フランス航空宇宙軍

(咲村珠樹)