サントリーのコーヒーブランド「ボス」から、新商品「スピリットオブボス」が2020年9月8日に発売されます。その発売にちなみ、町工場でものづくりのスピリットが受け継がれていく様子をドキュメンタリータッチで紹介するWEB動画が9月2日、サントリー公式YouTubeチャンネルで公開されました。

 サントリーの「働く人の相棒コーヒー」として親しまれている「ボス」。その中でも、スピリットという言葉を冠した商品が新たに誕生しました。発売を記念して公開されたWEB動画では、テーマを「時代は変わっても、変わらないスピリットがある」とし、2つの町工場で受け継がれるスピリットを描いていきます。

 埼玉県川口市の精密機械加工メーカー、栗原精機を舞台にした「親子で、技術をつないでいく。」篇では、50年以上続く家業を継ぐため、30歳で異業種から転職してきた息子と、父親である2代目の現社長による親子の物語が描かれます。

 草加市との境に近い場所にある栗原精機は、1968年の創業以来、精密機械加工を得意としてきた会社。ミリ単位、ミクロン単位の精度が求められる医療用の精密部品やカメラ部品、また真円度が求められるホビー用ホイールなど、細かく精密な加工を職人の技術と最新のコンピュータシステムを融合させて実現しています。

 卓越した職人技で信頼を得てきた創業者の祖父、そこにコンピュータを導入し、より複雑な加工を可能にしてきた2代目の父。その姿を見てきた栗原匠さんからすると、プレッシャーは感じるものの「この会社に育ててもらったので、無くさないためには自分がやるしかないかなと思いました」と語ります。



 迎え入れた父親の栗原稔社長は、厳しい今の時代を踏まえ、跡を継ぐために戻ってきた息子に「申し訳ないなという気持ちと、嬉しい気持ちと、半分半分ぐらいですかね」と、複雑な胸の内をカメラの前で吐露します。

 祖父、父とその背中を見続けてきた匠さんは「じいちゃんも父も、モノを作ってる時の方が楽しそうな感じはします」と語り、働いている職人の技術を受け継いでいくことが一番重要なことだと考えているとのこと。父親の稔社長は、モノづくりは永遠になくならないだろう、という見方を示しつつ、息子に対しては「彼なりのやり方で大きくなってもらえれば」と語ります。そこには、自身の経験も反映されているのかもしれません。


 辛いことはあるけれど、やりがいだらけなので楽しい、と語る匠さん。それでも父親は心配なようで「弱音は僕には吐かないです。母親には……言ってるのかな(笑)」。父親にとっても、新たな刺激になっているように感じられ、モノづくりのスピリットが受け継がれつつあることがうかがえます。



 大企業をやめて飛び込んできた若い女性の新人と、その師匠とのつながりを描く「好きなことを、仕事にする。」篇は、東京都大田区、羽田空港にも近い多摩川べりにある三輪製作所が舞台。その新人、神岡のぞみさんが作業する後ろ姿に、大企業から転職してきたことに驚き「どのくらい続くのかなと初めは心配でしたね」という、師匠である研磨主任の野田健一さんの言葉で始まります。



 三輪製作所は、ステンレス製品の製造・加工を中心にしたメーカー。食品プラント向け配管製品の金属製造から始まり、医療やサニタリー部門など、高い品質が要求されるステンレス製品を作り続けています。

 野田さんと神岡さんが所属しているのは、ステンレス製品の研磨部門。サニタリープラントやフィルターなどに使われるステンレス製品はバフ研磨が不可欠ですが、溶接して盛り上がった部分や傷などを完全に除去して磨き上げる必要があるため、難しい作業が要求されます。

 未経験の業種に飛び込んだ神岡さんは、小さい頃から自分で手を動かして何かを作ることが好きだったといい「どうせだったらもう周りの目とか気にせずに、本当に好きなことを仕事にしてみよう」と、入社の動機を語っています。

 最初は「ただ磨けばいいと思っていた」という神岡さん。しかし、仕事を重ねるにつれ「何をもって綺麗というか、何がダメなんだということがわかるように」なってきた、と仕事のやりがいを感じているようです。

 もちろん、力仕事の面があるので苦労はあるそうですが、周りの方が理解してくれたのがありがたい、と神岡さん。野田さんも「苦労して色々やっていましたけど、やっぱり研磨が好きだということは言ってくれるので、辞めなかったのはうれしかった」と語っています。

 野田さんの仕事ぶりを見ている神岡さんは、品物に対する愛情があるから、仕事に関して一切妥協しない、という姿勢が「カッコいい」と尊敬している様子。野田さんも、仕事に関して熱心に色々聞いてくる神岡さんに、頼もしさを感じているようです。



 これからについて、神岡さんは「野田さんの持ってる技を盗んで、研磨の大変さを楽しさを分かち合えるような関係になりたい」といいます。そんな気持ちが伝わったのか、神岡さんによると野田さんが自分を呼ぶ時「神岡ちゃん」から「のぞみ」に変わったそうで「気に入られたんだと思って(笑)」と笑顔を見せる神岡さんの姿も。


 仕事をしていくということは、自分だけではなく、一緒に働く人たちの気持ちをつないでいくことでもあります。今回公開された2本のWEB動画は、受け継がれる思い(スピリット)の様々な形を見せてくれているようです。

情報協力:サントリー食品インターナショナル株式会社

(咲村珠樹)