おうちごはんや、学校給食の人気の定番メニューでもあるカレーライスやシチュー類。食卓に出たときの高揚感は、歳を重ねても不思議と変わらないもの。

 そんなカレーやシチュー、願わくばお弁当などでも食べたくなるのですが、保存方法や容器の問題などで難しいと感じている方も多いのでは。そんな欲求不満を解消する方法を、佐賀県唐津市にある調味料製造メーカー・宮島醤油の公式Twitterが提案し話題となりました。

 「シチューやカレーやハヤシは美味しいですが、お弁当に持って行くのが大変で #欲求不満の原因 になるかもしれません。そこで考えました→→→持ち運びできるシチュー・カレー・ハヤシ。携帯サイズでお弁当のお供にもぴったりです(笑顔のイラスト)」

 そうつぶやきながら宮島醤油公式Twitterが投稿したのは、「ひとくちカレー」「ひとくちシチュー」「ひとくちハヤシ」と記されたスティック状のパッケージになった商品たち。

 一見すると、猫ちゃんやワンちゃんのおやつとしてすっかり有名になった「チュール」を連想するような形状ですが、何とこれは液状のカレーやシチューをスティック状にパッケージングすることで、持ち運びが可能になったというもの。しかも温める必要がないというスグレモノです。

 「これがあれば、昼ごはんの弁当でもカレーが食べられる!しかもシチューやハヤシライスもあるのか!」と、感じたのはどうやら筆者だけではなかったようで、こちらのツイートには1万7000ものいいねに加えて、ぜひ買ってみたい!という声が多数。大きな反響となりました。

 「でもこういう反響があった場合、メーカー側としてはどう感じているんだろう?」

 筆者は普段から、Twitterなどで話題になっている出来事を逐一チェックしているのですが、記事に書くタイミングというのは、その“鮮度”も鑑みて話題になった直後というのが定石。一方で「その後」っていうのは意外と分からないものです。そこで編集部では、宮島醬油株式会社に取材申し込みをした後、事の詳細をお聞きしました。

 「それにしても今回の反響は予想外でしたね」

 開口一番そう口にしたのは、今回の当事者である宮島醤油公式Twitter担当「中の人」。

 普段より宮島醤油社の商品を使っているユーザーと積極的に交流していく運用を基本線としながら、自社についての様々な情報や、本社がある佐賀と製造拠点の栃木に関する情報もあわせて発信。2018年の開設からフォロワー数も2万人を超えるようになった人気企業公式Twitterアカウントのひとつです。

 ちなみに今回のツイートに関しては、日々の運用と同時にやっているというTwitterのトレンドワードに乗っかってみたそう。

 実はTwitterというのは、InstagramやFacebookといった他の代表的なSNSとは違い、日々の世の中の動向とリアルタイムでリンクしているため、その都度流れてくる「トレンド」と呼ばれるワードと上手く絡ませて運用していくことが成功の秘訣と言われております。

 今回のケースは、「#欲求不満の原因」というハッシュタグが、ツイート当日にTwitterにてトレンドになっているのを目にし、以前より紹介したいと考えていた「ひとくちシリーズ」についてツイートしたんだそう。その理由についても教えてくれました。

 「『ひとくちシリーズ』は、小さくパック詰めしている商品なので、カバンに入れることが出来ますし、お弁当やアウトドアや小腹が空いたときなど使用用途も広くてとても可能性がある商品だと感じていたんです。ただお店にはさほど置けていないため、お客様にはあまり知られていなかったので、『宮島醤油って実はカレーやシチューも作っている会社なんですよ』っていうアピールも込めてのツイートでしたね」

 そう語った中の人ですが、実は宮島醬油株式会社は、1882年に佐賀県唐津市の地にて創業し100年以上の歴史を持つ老舗企業。取り扱い商品は何と3000種類以上あり、また様々なメーカーやご当地アニメとのコラボも積極的に行っております。

 筆者は長く食品関連の仕事に従事していたため、宮島醤油社のことは以前より存じておりましたが、ただそのイメージは、醤油を始めとした調味料製造メーカーというもの。今回のツイートで、「宮島醤油ってこういう商品もあるんだ」という感想を持った方は、私に限らず多かったのではないでしょうか。

 「営業の商談だけでは取れないところを獲得できれば」と語る宮島醤油公式中の人ですが、このツイートの影響で、商品を取り扱っている宮島醤油オンラインショップでは一時在庫切れになるほどの大反響。話題になったツイートは都度社内で報告共有しているそうですが、このようなケースでは初めてで、社内でもこの「SNS効果」には大きな話題になったそう。

 また、他にも参考になることが多かったそうです。

 「あのツイートなんですが、コメント欄には弊社の想定していないような使用用途について話してくださる方もおり、今後の商品開発にも大いに参考になるものもありました。“バズった”といっても、弊社に関係のない内容でしたらそれはただの一過性にすぎませんが、一方で今回のようなケースだと、宮島醤油の財産として今後何十年にも渡る大変価値のあるものだと考えています」

 ちなみに一時在庫切れになるほどの話題となったひとくちシリーズですが、その後増産を行ったことで在庫を確保し、現在は販売再開されているとのことです。

<取材協力>
宮島醬油株式会社(HP:miyajima-soy.co.jp / Twitter、Instagram、Facebook: @miyajimashoyu)

(向山純平)