アメリカ宇宙軍は2020年8月17日(現地時間)、新たにニナ・アルマーニョ空軍少将が中将に昇格し、宇宙軍に移籍したと発表しました。国防総省での昇任式を終え、女性として初めて宇宙軍中将となったアルマーニョ氏は、宇宙軍総司令部の人事を統括する役職に就任します。

 イタリア移民の父親を持ち、両親とも教育者という家庭で育ったニナ・アルマーニョ(Nina Armagno)中将は、空軍士官学校で生物学を学び、1988年の卒業後は空軍に入隊。ロウリー空軍基地で宇宙関連作戦の初期教育を受けました。志望の動機はスペースシャトルの打ち上げだったといい、アメリカ女性として初めて宇宙へ行ったサリー・ライドさんのポスターを自室に貼って、彼女に近づけるよう努力を重ねてきたといいます。

 その後、一貫してアメリカ空軍の宇宙関連部隊でキャリアを重ねたアルマーニョ中将。2012年には、女性として初めて第30宇宙航空団(カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地)の司令官に就任。2013年には准将に昇進し、今度は東海岸フロリダ州パトリック空軍基地の第45宇宙航空団の司令官を務めました。東海岸と西海岸双方の打ち上げ基地で司令官を務めたのは、アルマーニョ中将のみです。

 2018年からは空軍総司令部の調達担当次官補オフィスで、宇宙関連を統括する立場についていたアルマーニョ中将。母親から中将を示す3つ目の星をつけてもらい、宇宙軍の制服組トップである作戦部長のジョン(ジェイ)・W・レイモンド大将を前に、服務の宣誓をしました。

 昇任式を終え、宇宙軍の一員となったアルマーニョ中将は「私たち宇宙軍は生まれたばかりです。白紙の状態からスタートしたんです。私たちは敏捷で活発な存在になり、最高のものすべてを宇宙軍に注入していきます」と語り、生まれたばかりの宇宙軍で歴史を紡いでいくことの重要性に言及しています。

 レイモンド宇宙軍作戦部長は「ニナを宇宙軍中将に推挙できて、心から光栄に思っています。これは大きな責務であり、これまで経験した20倍以上もの仕事が待っています。国のため、あなたのリーダーシップで将兵を正しい方向に導くのは非常に重要なことですが、あなた以上の人材は考えられませんでした」と語っており、これまでの任務で得たアルマーニョ中将の幅広い宇宙関連の経験に期待を寄せています。

 アルマーニョ中将は昇任式で、今の宇宙軍があるのは、これまで多くの人々が宇宙に関わり、その経験を次の世代に伝えてきたからだ、とも語りました。宇宙軍は、空軍から分離独立したばかりの新しい組織ですが、これまでアメリカ軍が積み重ねてきた宇宙開発の歴史を受け継いでいることを内外に示す式典にもなったようです。

<出典・引用>
アメリカ宇宙軍 ニュースリリース
Image:USSF/USAF

(咲村珠樹)