水陸両用車AAV7が訓練中に海没した2020年7月30日の事故に関し、アメリカ海兵隊は8月4日(現地時間)、海軍の無人潜水艇が海底で事故車両を発見したと発表しました。内部には脱出できなかった海兵隊員らが取り残され、すでに死亡していると考えられます。海兵隊は海軍と協力し、事故車両と遺体の収容の検討に入ると明らかにしました。

 この事故は、カリフォルニア州のキャンプ・ペンドルトンに司令部を置く、第1海兵遠征軍第15海兵遠征部隊(15th MEU/I MEF)が、海軍と共同で実施していた定期訓練中に発生しました。訓練に参加していた海兵隊の部隊は、第15海兵遠征部隊に所属する第4海兵第1大隊B中隊(ブラボー・カンパニー)、海軍からは強襲揚陸艦マキン・アイランド、ドック型輸送揚陸艦サマセット、ドック型輸送揚陸艦サンディエゴ、駆逐艦ジョン・フィンの4隻です。

 アメリカ海兵隊の発表によると、7月30日の訓練課目は、演習地であるサンクレメンテ島から沖合の揚陸艦へAAV7で帰還する、というもの。現地時間の17時45分ごろ、AAV7はサンクレメンテ島の砂浜から海に入り、母艦となるマキン・アイランド、サマセット、サンディエゴを目指しました。


 事故を起こしたAAV7は、海岸から1500mほど進んだところで突然沈没しました。16名(海兵隊15名/海軍1名)の乗員のうち、半数の8名が救助されましたが、1名が死亡し、2名が病院で手当てを受けていますが、1名は深刻な状態とのこと。現在のところ、事故原因は不明です。

 訓練時の兵士はボディアーマーや銃などフル装備の状態なので、沖合で沈むと浮くのは非常に難しく、8名が救助されたのは奇跡的なことでした。訓練に参加していた4隻の海軍艦艇からMH-60ヘリコプターと小型ボート、そしてサンディエゴ地区を管轄するアメリカ沿岸警備隊のカッター、フォレスト・レッドノアーからもMH-60ヘリコプターが出て周辺海域を捜索したものの、残りの8名は発見できませんでした。




 海兵隊は8月2日、行方不明の8名(海兵隊7名/海軍1名)は、脱出がかなわず乗っていたAAV7と一緒に沈んで死亡したものと認定し、40時間に及ぶ捜索を打ち切りました。それと同時に、海軍の無人潜水艇ドミネーターと海中救助コマンドが投入され、沈んだAAV7の捜索に移っています。

 無人潜水艇ドミネーターは8月3日、深さ約117mの海底でAAV7を発見。内部には乗員8名の遺体が取り残されているとみられます。今後海兵隊は海軍と協力し、海底からAAV7を回収し、遺体の収容と事故原因の究明を行う方針です。原因が究明されるまで、AAV7の運用は一時停止されるとのことです。

<出典・引用>
アメリカ海兵隊 プレスリリース
Image: U.S.Navy/USMC

(咲村珠樹)