イギリス空軍は2020年7月14日(現地時間)、アメリカでアップグレード改修を受けていた電子情報収集機RC-135Wリベットジョイントの1号機が改修後の性能試験をクリアし、任務に復帰したと発表しました。コクピットを中心に機器が刷新され、多機能ディスプレイを中心としたグラスコクピット機に生まれ変わっています。

 イギリス空軍は老朽化により2011年に退役した電子偵察機ニムロッドR1に代わり、RC-135Wリベットジョイントの導入を決定。2011年3月からアメリカ空軍のKC-135Rを改造する形で製造が始まり、2013年に1号機が納入されました。2017年6月8日に全3機が出揃い、翌2018年2月に完全作戦能力を獲得しています。

 今回のアップグレード改修では、従来のアナログ式計器からデジタル式の多機能ディスプレイにする、グラスコクピット化が主なものとなりました。メーカーの工場があるアメリカに送られたリベットジョイントは、コクピット計器を大画面の多機能液晶ディスプレイに換装するなど、よりパイロットの操縦操作における負担が軽減されるように改修されています。

 リベットジョイントが所属するイギリス空軍の航空ISTAR(情報収集・調査・目標捕捉・偵察)部隊司令官、ニック・ヘイ空軍代将は「今回の先進的なコクピットおよび主要システムのアップグレードは、イギリス空軍のリベットジョイントにとって大きな飛躍となります。これらの新しい機能を古い設計の航空機に統合するというのは、技術的にも野心的なものであり、世界のどこへでもリベットジョイントの能力を展開する原動力となります」と、今回のアップグレード改修についてコメントしています。

 今回、改修1号機となったのは、機体番号ZZ664号機。拠点であるワディントン空軍基地から訓練飛行に飛び立ち、一連の改修部が問題なく動作することが確認されました。

 イギリス国防省の防衛装備援護庁(DE&S)で、航空ISTARチームのリーダーを務めるマーク・ハント空軍代将は「ZZ664号機の任務復帰は、チームにとって大きな節目となりました。4年に及ぶ仕事の集大成として、このタイプのコクピットが認定を受けたことは、重要なイギリスとアメリカとの共同プログラムにとって素晴らしい成果です」とコメントし、この改修への道のりを振り返っています。

 このリベットジョイントのアップグレード改修に合わせ、ワディントン空軍基地にはグラスコクピット化された新しいフライトシミュレータが設置されています。世界でわずか20機しかないRC-135Wリベットジョイント。残る2機も現在改修作業が進んでおり、順次イギリスへ戻る予定となっています。

<出典・引用>
イギリス空軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright 2020

(咲村珠樹)