アメリカ海軍太平洋艦隊は2020年7月14日(ハワイ時間)、ニミッツ空母打撃群に所属する駆逐艦ラルフ・ジョンソンが南シナ海の南沙諸島で「航行の自由作戦」を同日に遂行したと発表しました。これは南沙諸島の領有権を争っている中国・ベトナム・台湾の3か国に対し、どの国の制限も受けず、国際法に定められた「自由に周辺海域を航行する権利」を主張するものです。

 南シナ海には、アメリカがスプラトリー諸島と呼称する南沙諸島をはじめ、複数の国が領有権を争っている島々があります。アメリカの「航行の自由作戦」は、領有権を主張する国々のうち、特定の国を支持することを示すものではなく、領有権争いによって当該海域で不当に航行の自由が脅かされることに対し、国際法に定められた「無害の船が周辺海域を自由に航行する権利」を主張する、という活動です。


 駆逐艦ラルフ・ジョンソンは、今回が就役後初の遠征航海。空母打撃群CSG-11の旗艦である空母ニミッツとともに、2020年6月8日に母港サンディエゴを出港しました。太平洋を西に進み、第7艦隊担当エリアに入ったニミッツ空母打撃群は、フィリピン海でセオドア・ルーズベルト空母打撃群(CSG-9)、フィリピン海と南シナ海でロナルド・レーガン空母打撃群(CSG-5)と相次いで共同訓練を実施。


 南シナ海での共同訓練を終えフィリピン海に入った空母ニミッツと別れ、駆逐艦ラルフ・ジョンソンは初めて単独での遠征任務を遂行することに。その最初となったのが「航行の自由作戦」でした。


 アメリカ海軍は今回の作戦について「南シナ海での違法かつ広範囲に及ぶ海洋における主張は、航行と飛行の自由を含む海における自由、自由貿易と妨害を受けない交易、そして南シナ海諸国の経済的機会を脅かすものだ」と指摘。これに対する抗議の表明として行ったとしています。

<出典・引用>
アメリカ太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)