アイスランド沖の北大西洋で、NATOに加盟する6か国が参加する多国間共同訓練「ダイナミック・マングース」が、2020年6月29日に始まりました。ホスト国アイスランドによる支援のもと、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、ノルウェー、フランスから潜水艦と水上艦艇、航空機が集まり、対潜水艦戦闘のスキルを磨きます。

 NATOの多国間共同訓練「ダイナミック・マングース」は、加盟国の海軍が参加して毎年実施される対潜水艦戦闘に特化した訓練。北大西洋はロシアの潜水艦が活発に活動する場所であり、同じ海域で実施する対潜水艦戦闘訓練は、この海域の特性を知るという意味でも非常に重要なものとなります。

 今回の訓練では、NATOの潜水艦コマンドに所属するアメリカ、イギリス、ドイツ、ノルウェー、フランスの潜水艦5隻が参加。対する水上艦艇はアメリカ、イギリス、カナダ、ノルウェーからの5隻。これに加えて、アメリカ、イギリス、ノルウェー、フランスから哨戒機が5機参加しています。

 訓練では様々なシナリオに基づき、各国の艦艇と航空機が協力し合って対潜水艦戦闘を行います。潜水艦側も対水上艦艇の戦闘スキルを磨く絶好の機会なので、訓練とはいえ互いに真剣勝負となります。

 NATO連合海軍部隊司令官のキース・ブローント中将は「今回の訓練では、対潜水艦戦闘を含む高度な戦技に焦点を当て、NATOとその加盟国の戦闘能力を向上させる機会となります。ダイナミック・マングースは、我々が平和や軍事的緊張、紛争に対し、いつでも対応可能であることを見せるものです。この点に関し、ホスト国のアイスランドによる素晴らしい支援をはじめ、参加各国に感謝したいと思います。ダイナミック・マングースは非常に効果的な訓練になると確信しています」とのコメントを発表しています。

 アメリカから参加している、駆逐艦ルーズベルト(空母セオドア・ルーズベルトと違いフランクリン・D・ルーズベルト元大統領夫妻に由来する艦名)艦長のライアン・ケンダル中佐は「ダイナミック・マングースに参加することにより、我々ルーズベルトはNATO加盟国のパートナーとのダイナミックで高いレベルの対潜水艦戦闘において、高度なソナー能力を発揮することができます。洋上での戦技向上を通じて、NATO加盟国の結束の強さを示すことができるでしょう」と、今回の訓練に対する抱負を述べています。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ホスト国のアイスランドは参加艦艇の寄港や訓練において、厳重な防疫体制をとるとのこと。共同訓練ダイナミック・マングースは、7月10日まで続けられます。

<出典・引用>
NATO連合海軍部隊司令部(MARCOM) ニュースリリース
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:NATO/U.S.Navy

(咲村珠樹)