エアバスは2020年6月29日(フランス時間)、画像認識技術を使った旅客機の自動地上走行・離着陸実験プログラムが成功裏に終了したと発表しました。最も事故が起きやすく、パイロットも神経を使う離着陸の場面でコンピュータが支援することができれば、より安全な空の旅が実現できるようになりそうです。

 エアバスはパイロットの負担を減らし、ヒューマンエラーによる事故を減らすための自動化技術を研究しています。これは将来、都市における空のパーソナルモビリティ(ドローン)が実用化される際にもキーとなるものです。

 旅客機の自動地上走行(タキシング)・離着陸技術について、エアバスはATTOL(Autonomous Taxi, Take-Off and Landing)という名称を用いています。これは管制の指示に従い、空港内を滑走路まで移動し、離陸するまでと、着陸進入から着陸、そして空港内を走行して定められたスポットに駐機する、という2つの場面に分けることができます。

 このプログラムでは、トータル500回以上におよぶ試験飛行のうち、約450回においてはパイロットが操縦する際の画像データを収集し、コンピュータの判断材料とするアルゴリズムの調整に費やされました。そして実際に自動での離着陸実験は6回実施され、それぞれで5回ずつの離着陸を繰り返しています。

 実験に使用されたのはA350-1000。搭載したカメラで誘導路や滑走路を認識し、走路を逸脱しないように自律走行と離着陸を実施しています。

 航空機事故のほとんどは地上、もしくは離着陸時に集中しており、この段階でコンピュータがパイロットを支援することができれば、ヒューマンエラーによる事故を未然に防ぐことができます。エアバスでは、このほかにも戦術輸送機における地形追従飛行の自動化など、パイロットに負担のかかる場面でのコンピュータ支援技術などの研究開発を続けています。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus

(咲村珠樹)