同人サークルと聞くと二次創作の漫画というイメージが強いかもしれませんが、他にもオリジナルの創作分野や個人の研究成果の発表、グッズ作成とジャンルは色々。今回は「1/12スケールの和もの」の制作がメインな「月面散歩」の胴なしさんに同人活動について話を伺いました。

【胴なしさんインタビュー】
 ――よろしくお願いします。今回は「月面散歩」の胴なしさんにお話を伺いたいと思います。早速ですが、主な創作活動について、お話し頂けますでしょうか?

(胴なしさん)
 サークル:月面散歩の胴なしです 半分個人サークルですが、いろんなことを多岐にやっているのでサークルともディーラーともよくわからないのが実情です。現在は1/12スケールのミニチュア、メガミデバイス向け衣服などを制作しています。昔は東方の同人誌を描いていました。

 ――私がお会いしたのは東方時代だったかな? 胴なしさんと言えばぬいぐるみの作成とミニチュアいう印象が多いのですが、主に作ってる作品を教えて貰っても宜しいでしょうか?

(胴なしさん)
 そうですね 東方ですねー現在主に作ってるものは、1/12スケール物で着物(袴タイプのものだったり三味線や扇子などしいて言えば和もののものが多いですね

ドールハウスの囲炉裏

 変わり種の携帯型ドールハウス(囲炉裏)とかありますが手間がかかりすぎて。

 ――折りたたみが出来るドールハウスは凄かったですね。ギミックが……

(胴なしさん)
 団らんできそうな田舎の家ということで囲炉裏を作ったんですが、囲炉裏には上から伸びてる自在鉤等々とか必要だし。炭があるならば光っててほしいし……に加えて携帯するならば当然持ち運びやすくかつ素早く展開、収納できるようにとかやってたらものすごく手間が増えるという……。床もいまならばそれらしいシートもあるのに一枚一枚角を落として磨いたりと容赦なくやってしまいました。

 ――あれには驚かされました。初めて見た時になんか光ってる!ってなりましたし。

(胴なしさん)
 炭は木を型にとってUVレジンで成形、のちに光ファイバーを差し込んでオレンジに光るようにしてました。光量が足りないのが悔しいところですがねー

 ――炭であれば淡い光だから、あの位で私は良いと思いますけどね。あとは、三味線が木製になったとか、こだわりが凄いなぁと思います。

(胴なしさん)
三味線も最初は色厚紙でつくったんですが、今は柄の部分はバルサ材とヒノキですからねぇ…… つや出しもかねて表面はUVレジンだからカチコチです。バチもべっ甲を使ったみたいにしてたりします。流石にべっ甲の本物は使いませんよ。洒落にならないほど大変になりそうなので……。

 ――べっ甲の本物使ったら大変な事になりそうですね……やらかしそうなサークルさんは知ってますが……

■ 雑には作りたくない、妥協を許さない胴なしさんのこだわり

 ――ドール用の靴をちゃんと紐で結んでいたり和服も手縫いだったり、ニッパーカバーとかの実用品も作成したりと細かい造形が素晴らしい胴なしさんですが、創作活動で気をつけている事はありますでしょうか?

(胴なしさん)
 気を付けてること……なるべく妥協しないことですかね。雑には作りたくはない……最近だと生産性も考えるようになってきました。クオリティを維持したままなるべく素早く作れるようにと頑張ってます。実はあまり器用ではないので……。友人にはもうちょっと手の抜き方を覚えろとかは言われますがw

 ――私と比べたら大分器用だと思いますよ。私なんて全然……

(胴なしさん)
時間を異常にかけてるだけでございます ダカラオソイ……作るものに対しての条件が重いとも言われますが。

 ――時間を掛けてじっくり作れるのも才能だと思いますよ。私なんかは気分が乗った時に6時間くらいで一気に作った物が一番評判が良かったりしますし。時間掛けると頓挫してしまう。

(胴なしさん)
なかなかできないので焦るんですけどねw

■ 同人活動のきっかけは東方

 ――焦るのはよく分かります特に締め切りがだんだん近づいてくるあれは焦る。ちなみに同人活動をはじめたきっかけは何でしょうか。

(胴なしさん)
昔は周りのいろんな人が作ってるのをみて本をつくってみたい!ってところからですかね。東方をよく見るようになってからそうなりました。

 ――あの時の東方の勢い凄かったですからね。私も当時別ジャンルの評論から東方に移りましたし。

■ 同人活動での辛いのは資金 活動をして良かった事と辛かった事

(胴なしさん)
 なかなか思うようにはいかなかったけど楽しかったです。余裕があればまたやりたいなぁとは思っていますが。

 ――やりましょう。何か合同本のネタ考えておきます。作家同窓会本とかでもいいなぁ。っと話がそれてしまいました。活動をして良かったことと辛かったことはございますか?

(胴なしさん)
 東方関連だと話がそれるのわかりみが深い。活動して良かった事はいろんな人に会えたりしたことですね~。まぁ表裏一体のところもありますけど……。物理的には自分の考えた物が形できる。ってところですね。達成感というか自分の作った跡というか……辛かった事はみなさんおなじみ資金じゃないですかね(トオイメ

 ――資金は……うん

(胴なしさん)
 同人誌はすごくかかるね……ウン 最低必要資金が結構する。

 ――最低必要だと、印刷費とソフト代、他にもPCやタブレットと初期費用が……アナログでも道具の費用が掛かりますし。

(胴なしさん)
あとイベント参加費ですかね ビックサイトなりオンリーなりでも結構しちゃう……あんまりお金に対してとやかく言いたくはないが続けていくにはやっぱり必要でして。

 ――そうですね。そこはどう活動していても直面しますしね。

(胴なしさん)
安定してそこそこ売れるようなタイプでもなかったので毎回出るたびにすごいマイナスが……ひぃ 出たい、作りたいと財布の中身は意外と仲良くないのが辛い

■ これから創作する人へ

 ――分かります。もの凄く分かります。内容が活動してて辛い事と重複する部分が被る事もあると思いますが、今後同人活動をする人、しようとする人にアドバイス等はありますでしょうか?

(胴なしさん)
辛いところとかぶってるのはもちろんですが大きくは 
1、自分が欲しいものを作れ 
2、雑でもいいから完成までたどり着け
ってところですかね。依頼とかならともかくこの二点が曇り始めるとすっごくしんどくなります。あとはお決まりの資金とか遠征準備とか締め切りですかね。二次創作とかガイドラインがあれば目を通すこともお忘れなく。立体物と本だといろいろと違ったりもしますので
……

 今回は1/12スケールの小物を作っている「月面散歩」の紹介でした。ドール向けの和服から、三味線、靴、ドールハウスも作られていて見ているだけで幸せになるサークルさんでした。即売会の他にも作品は秋葉原や大阪に委託もしているので、足を運んだら見て癒やされてください。

<取材協力>
胴なしさん(@dounasi)

(戦魂)