幼い子どもを狙った性的な犯罪。報道などで表に出ている被害よりも、ずっと多く起きている事、皆さんはお気付きでしょうか?子どもたちを未然に犯罪から守るためには、必要な事を被害に遭う前に教えておく必要があります。その内容をまとめた4枚の画像がツイッターに投稿され、多くの人たちから支持されています。

 イラストとともに、幼児期からの性教育の必要性をまとめているのは、漫画家のヲポコさん。以前から、段階的な性教育についての内容を、<漫画で幼児期からの性教育を解説【安全教育が大事】>というサイトにてイラスト付きの画像で紹介しています。

 今回は、その要点をまとめた4枚の画像を「子どもたちを性加害から守るため大人が知っておきたいことを画像4枚にまとめました。少しでも色んな方に知って貰いたいのでこの4枚はフリー素材画像とします(著作権は私です)。改変・自作発言・商用利用は禁止ですが、自由に保存したりリプに添付してOKです」と著作権は放棄していないフリーの画像として、広く使って欲しいとツイッターに投稿しています。

■ 幼児期に教えておきたい4つの事

 まず1枚目には、男女関係なく幼児期から教えておく必要がある4つの基本となる内容をまとめています。その内容とは、

1.水着ゾーンは他人に見せない・触らせない
2.体の穴という穴に異物を入れない・入れさせない
3.相手が嫌だといった行為はすぐにやめる
4.誰かに水着ゾーンを触られたら報告をする事

 の4つ。1番目は、お友達との楽しい水遊びをする事があるかもしれませんが、もしお友達同士であっても、水着を着ている部分というのは人にさらす場所ではないという事を、まず子どもに覚えてもらう必要があります。男子でも女子でも、最低限の隠すべき体の部位がある。隠さないといけない部分は、自分の体の中で特に大切にすべき部分。

 子どもであっても、人間としての尊厳はあります。性的な事であるという事がピンとこない子どもにとって、尊厳自体もまだ分からないかもしれません。でも、見せた(見られた)結果、デリケートゾーンを触られた、という事も実際に起こっているのです。

 2番目に挙がっている、「体の穴に物を入れない」は、“幼児だからデリケートゾーンを触っても分からないだろう”という考えを持つ性癖の持ち主から身を守るための内容であるとともに、耳や鼻にピーナッツなどを詰めて取れなくなってしまったなどの、子どもにありがちな事故を防止する観点からも必要な話。

 3番目は言うまでもなく、自分が加害者となる事を防ぐために必要な話。自分が冗談と思ってやった事でも、相手にとってはとても嫌な行為というのはいくらでもあります。嫌な事は我慢させず「嫌」と言えるようになる事、「嫌」と言われたらすぐにやめる事。冗談で済まされないセクハラなんて、嫌な事ですが大人社会ではいくらでも見かけますよね。小さなうちから、きちんと拒否を示す事ができるのは、とても大切な事です。「嫌」が言えないでいると、性被害を助長させる原因にもなり得るのです。

 4番目は、痴漢被害に遭った時にそれが「痴漢」である事を子どもに認識させるためにも必要な事です。幼児を一人で椅子に座らせて、親が離れたところで何かの手続きをしている間に不審者から太ももを触られたという事も、異性の親の代わりに親切な人が一緒に子どものトイレに付き合ってくれたと思っていたら、実は性犯罪に巻き込まれていたという事も意外にもあります。加害者の年齢も幅広く、意外に見える人物が加害者である事も。

 そういった被害を受けた場合、水着で隠している部分を触られる事はされるべきではない事、もし被害に遭った場合、速やかに親への報告を行うことができる様に教えておく事は、成長後に自分の身を守るのに役に立ちます。

■ 世の中は意外な性癖の人がいる

 もし、自分の子どもの写真、それもごく幼い時のオムツだけの姿が性愛の対象にされているとしたら、皆さんはどう感じますか?2枚目の画像ではそんな内容を示しています。

 イラストではオムツだけの男女の赤ちゃんの絵が描かれています。普通にみると「かわいらしい写真」、しかしその手の性的思考を持つ人から見たら……。筆者自身、二人の娘の母なのでこういった事を想像するだけで吐き気がするほどですが、この手の写真を性対象に見る人は実際にいるのです。

 2枚目の画像ではつづけて、「被害者が男女問わない」こと、「加害者も老若男女」とわないこと、「特に性犯罪は顔見知りの確率も高い」も紹介しています。

 信じられない人もいるかもしれませんが、性犯罪の加害者が実は身近な人、という場合があります。異性の親や親族などから性的虐待を受けているけど、身近すぎて「嫌」が怖くて言えずに被害がエスカレート。助けを求めたくても求める事ができないでいる子たちが潜在的に存在しているのです。

 さらに、学校などでも気が抜けません。報道でも、学校のトイレや更衣室に隠しカメラを仕掛けた事が発覚して逮捕されている人がいますよね。

 こんな事は、筆者は個人的にはあまり書きたくはありません。しかし、「先生」という人達の極々一部には、「“女子だけを抱っこする”先生」、「“教えてくれる内容以外に不必要に体を触る”習い事の先生」など、「親や子どもたちの信頼を利用する」人たちは存在しており、被害は女の子だからと限ったことでもありません。被害者が男の子ということもあるのです。そしてこうした事態が起こりうること、親は認識しておく必要があります。

 なぜなら、我が子から「あの先生が自分の△□を触ってきた、怖い、気持ち悪い」というSOSがあった場合に、先述のケースを知らないがゆえ「先生だしそんなまさか」「男の子にそんなこそする?スキンシップでしょ」と軽く考え、性犯罪を見過ごしてしまうケースがあるからです。

 もしも、子どもからSOSがあった場合には、速やかに事実確認をするのが理想。親が子の言っている事を疑ってしまったら、子どもは誰を信用してSOSを発信したらいいのか分からなくなります。

 あまりはっきりと言えない子に対しては、特に丁寧に、優しく聞き取りを行う必要があります。親子の信頼関係が築けていないと、性犯罪を助長する一因にもなりかねません。性犯罪は、その立場を悪用している身近と思える人・ところほど多く発生している事が多いのです。

■ 間接的な性被害は気が付きにくい

 3枚目にまとめられている内容は、公衆トイレのドア裏に潜んで直接的に性加害を企んでいる人や出入り口でいたずらをしようとする人がいる事、デジカメで子どものパンツを遠くから狙って撮影する人、干した下着を盗撮する人、お店のトイレの汚物入れを狙う人、SNSなどにアップした子どもの画像や自撮り画像に対してわいせつな落書きなどをする人など……想像するだけでおぞましい内容について触れられています。

 デジカメで撮られた・SNSにアップした画像を加工されたなど、間接的な被害は分かりにくいものですが、一度ネットに写真が流出してしまうと、永久に画像は出回り続けてしまうとも言われています。今はスマホを持つ小学生も多くいます。自撮り写真を家の近所で撮影してSNSに投稿して、自宅が特定されてしまう事も実はあります。

 そして公衆トイレは子どもが連れ込まれやすい場所である事は確か。特に、異性の親はトイレの中まで同伴できません。未就学児であれば、広い店内の広いトイレではなく、多目的トイレや幼児用のトイレを使うのも防犯の一助になるでしょう。

 公園のトイレや小さいトイレであれば、親の声がはっきり誰にでも届くくらいの大きさで、子どもに呼びかけるという方法も。犯罪者は親の存在に対して敏感に反応します。トイレに行く時に、大きめの声で子どもとトイレに近づくという方法は、トイレでの痴漢を未然に防ぐ事に繋がります。

 2~3歳くらいの女子では、オムツの替えやすさや子どもの好きなキャラクターなどに合わせて、スカートをはかせている人も少なくないかもしれません。この年代の子に対しても性的な欲求を持つ人は意外といたりします。オムツが直接見えないように、短パンなどをはかせるのも盗撮被害から身を守る一つになるでしょう。

 また、外遊びの最中のオムツ替えは案外場所がなくて困る事もあります。最近では男性トイレにもオムツ替えスペースが設置されてき始めましたが、父親がオムツ替える時にジロジロと見てくる人は案外います。人が多いときには多目的トイレなどをできるだけ利用する、広い公園であれば簡易テントなどで目隠しできる場所を作っておくというのも一手段ですね。

■ 「嫌」なことは「嫌」と言える環境づくりを

 4枚目にまとめられている内容の中に描かれているのは、先述したように、父親が外の男性トイレで娘のオムツ替えをしているとジロジロと見られたり、卑猥な事を言ってくる男性も未だにいる現状。男風呂に女児を連れて行くだけで、誰が小児性愛者か分からないところに連れて行くようなものだと危機感をもって考えるべきです。

 逆に、母親が息子を連れて温泉や銭湯などに行った場合、子どもの方が他の女性の裸をジロジロと見ているという事があります。男児は幼くても異性の体に興味を持つ子は持ちます。他人の裸を近くでジロジロと見る事を放置するのは、我が子を加害者に育ててしまう事に繋がりかねません。

 本当にやむを得ない事情がある場合以外、異性の子を公衆浴場へ連れて行くのはかなりリスクが高いと考えた方がいいでしょう。とはいえ、片親の場合はそうもいかないケースもあります。その際には最近増えている「家族風呂がある施設を利用する」などの対応を考えるのも一つです。

 性犯罪は、言うまでもなく加害者が問題を起こさない限り発生しません。しかし、現状はどうでしょうか?被害者に向かって「そんな露出が多い服を着ているから痴漢に遭うんだ」と、何故か加害者側を擁護するような言葉を発する人が後を絶ちません。

 犯罪を犯した人を断罪せず、被害者に向かって心無い言葉を投げつける人が未だにいる社会。この風潮こそが、加害者を擁護し、被害者が何度もつらい思いをしなくてはならない、いわゆる「セカンドレイプ」を助長させています。

 明らかにおかしい事をおかしいと言える世の中ではない、というのは全ての事に繋がってきます。横暴上司のパワハラ、不当に安く搾取しようとする取引、見た目や考え方の違いを認められない事による差別やいじめ、「この人は可哀想な生い立ちだから」と擁護して犯罪に目をつむる……。その中のひとつに、性犯罪も含まれています。

 「嫌」「おかしい」「容認できない」そう思った事をはっきりと声を上げる事ができる社会になれば、こんなに生きづらさを抱えている人はかなり減るのではないでしょうか?そして、大人が分別を持って、きちんと子どもの人権を守る事。相手の同意なしに性的な行為を強要しようとしたり、性的快感のために好き勝手な事をするのは、理性ある人間の行動ではありません。

 特に、性犯罪ほど相手の尊厳を踏みにじる行為は社会通念上、許されるものではないはずです。セクハラまがいの行動や考え方は、犯罪を助長する考え方。臭いものにフタしてそ知らぬふりは、もう終わりにしませんか?

<記事化協力>
ヲポコさん(@wopocco)
漫画で幼児期からの性教育を解説【安全教育が大事】

(梓川みいな/正看護師)