トルコの山火事シーズンを前に、2020年6月16日(現地時間)からロシアが消防飛行艇Be-200ESを派遣し、トルコでの森林火災消火業務を担当することが発表されました。トルコに到着した2機のBe-200ES飛行艇はロシア人パイロットが運用し、現地で4か月間にわたって森林火災における空中消火任務を担当します。

 この協定はトルコ農林省からの要請に基づき、ロシアの産業貿易省、ロシア非常事態省と航空機を提供するUAC(ユナイテッド・エアクラフト・コーポレーション)と、UACも傘下に収めるロシアの国営コングロマリット、ロステックのアンカラ(トルコの首都)事務所の協力で実現したもの。

 西アジアとヨーロッパにまたがるトルコは、地中海性気候の影響を受けて夏になると乾燥しがちになり、しばしば森林火災が発生します。トルコは空中消火を実施できる消防機を保有しておらず、ギリシャやイタリアに応援を要請し、消防飛行艇CL-415を派遣してもらって空中消火を実施しています。

 しかしこの仕組みでは、火災がかなり拡大してしまってからの要請にならざるを得ず、また政府間の調整や受け入れ態勢の構築など、消防機がやってくるまでに時間がかかり、その分森林火災も拡大してしまいます。消防の基本は初期における消火活動が重要ですから、国内で対処できた方がより火災の規模を食い止めやすくなります。

 しかし、森林火災が年間を通じて頻繁に発生するならばまだしも、季節が限られて発生件数もそれなりであるトルコの場合、財政事情の面でも政府が消防機を保有して運用するのは困難。そこで、多くの消防飛行艇を製造・運用し、経験豊富なロシアに森林火災シーズンだけ消防機を派遣してもらって常駐する、という話がまとまったのです。

 近年トルコはNATO加盟国ではありますが、ロシアとの結びつきも強化しており、2019年にはロシア最大規模のエアショウであるMAKSにエルドアン大統領が会場を訪問し、ロシアのプーチン大統領が案内してステルス戦闘機のSu-57や、今回派遣されたBe-200を視察しています。その後もトルコの閣僚など政府高官がBe-200の製造施設やパイロット訓練センターを視察しているため、今回のBe-200ES派遣は、こういった流れから実現したものといえるでしょう。

 ロシアからのBe-200ES消防飛行艇派遣に際し、ロシアのオレグ・ボチャロフ産業貿易副大臣は「今日、ロシアとトルコは初めての航空分野における協力の成果を打ち立てました。Be-200は人命救助や大規模火災に対処する能力を持つ飛行艇であり、トルコの皆さんのため、持てる力をフルに発揮してくれるだろうと喜んでいます」とのコメントを発表しています。


 これからの4か月間、ロシアの搭乗員とBe-200はアンタルヤ(トルコ南西部)、イズミル(トルコ西部エーゲ海沿岸)、ボドルム(地中海に面する港湾都市)を拠点に、近隣で発生する自然災害に対処することとなります。1度に最大12トンもの水を運び、空中から放出できるBe-200ESは、トルコでの森林火災で頼れる消防機になりそうです。

<出典・引用>
ロシア産業貿易省 プレスリリース
UAC プレスリリース
Image:UAC/イタリア空軍

(咲村珠樹)