ベトナム戦争下の1966年8月18日、オーストラリア陸軍とベトコン、北ベトナム軍との間で発生した「ロングタンの戦い」を描く映画「デンジャー・クロース 極限着弾」。オーストラリア軍の専門家と兵役経験者が全面協力したことで注目を集めるこの作品、監督の特別インタビューとメイキング風景を収録した特別映像が解禁されました。

 1966年8月18日、ベトナム戦争に派遣されていたオリバー・ジャクソン大将率いるオーストラリア陸軍第1任務部隊(1 ATF)に所属する、ロイヤルオーストラリア連隊第6大隊D中隊が遭遇した「ロングタンの戦い」。オーストラリアではベトナム戦争最大の激戦として知られています。

 当時オーストラリア陸軍第1任務部隊は、8月16日にサイゴン(現:ホーチミン)近郊のヌイダットに進出しました。そこで16日・17日と夜襲を受けたロイヤルオーストラリア連隊第6大隊は、18日の当番隊だったハリー・スミス少佐(1976年に中佐で退役し現在も86歳で存命)率いるD中隊が、夜襲の攻撃地点を探るため哨戒に出ることに。

 D中隊は、戦争のため廃村となったロングタン近くにあるゴムのプランテーションに攻撃地点を発見しましたが、そこはすでにもぬけのから。どこへ移動したのか、第11小隊を先頭に捜索していたところ、15時40分にベトコン兵と遭遇。戦闘となりました。

 第11小隊のボブ・ビュイック軍曹が1名を射殺しますが、ほかの兵は取り逃してしまいます。遭遇したほかにもベトコンが潜んでいると直感した中隊長のスミス少佐は、司令部のジャクソン大将に援軍を要請。そこから夜にかけ、熾烈な戦いが繰り広げられたのです。

 オーストラリア軍は戦闘中に弾薬が不足し、攻撃により分断されるなど苦戦します。戦闘が完全に終結した19日朝には、18名の戦死者と24名の負傷者が出たことが確認されました。戦闘が起きた地には現在、オーストラリア軍の戦死者を追悼する記念碑が作られています。

 オーストラリアにとってベトナム戦争最大の戦いを描く「デンジャー・クロース 極限着弾」。クリフ・ステンダーズ監督は「アフガニスタンの従軍経験者が撮影に参加してくれたのはとても貴重だった」と語っています。

 アフガニスタンでの作戦参加経験のあるオーストラリア陸軍OBの参加によって、セットの監修や土のうの準備など陣地の構築に至るまでリアリティある映像になりました。メイキング風景では従軍経験者が兵士となり、戦闘シーンを撮影する様子などが見られます。

 主人公のハリー・スミス少佐を演じるトラヴィス・フィメルさんをはじめ、キャスト陣は実際に訓練を受け、軍人の動きや心理を学んでから撮影に臨んだといいます。クリフ・ステンダーズ監督は作品について、“事実に反しないこと”と“物語を作り上げること”のバランスを重視したとか。徹底したリアリズムの迫力と、バトルとしてのストーリー性を両立させた映画「デンジャー・クロース 極限着弾」は、2020年6月19日から東京の新宿バルト9で公開されます。

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情報提供:彩プロ

(咲村珠樹)