ボーイングが保有する巨大輸送機「747 ドリームリフター」3機が2020年5月11日(アメリカ中部時間)、新型コロナウイルスと戦う医療従事者用の個人防護具約15万セットを中国からアメリカに空輸しました。ドリームリフターが3機同時に投入されるのは、非常に珍しいことです。

 ボーイングが、世界各地の協力企業で製造された部品をシアトルの最終組み立て工場へ空輸するため、ボーイング747-400の胴体部分を拡張して作られた巨大輸送機が「747 ドリームリフター(B747-400LCF)」。中部国際空港へ定期的に飛来し、三菱重工が製造したボーイング787の主翼を左右1セット空輸しているため、日本でもおなじみの存在です。


 今回ボーイングは、サウスカロライナ医科大学(MUSC)に付属する8つの病院で新型コロナウイルスと戦っている医療従事者に個人防護具(PPE)のゴーグルとフェイスシールドを届けるべく、保有する4機中3機のドリームリフターを中国へ派遣しました。サウスカロライナ州の医療で中心的存在であるサウスカロライナ医科大学とボーイングは、以前からパートナーシップ協定を締結しています。

 15万セット以上に及ぶ個人防護具を空輸した今回の件について、ボーイングのカルフーンCEOは「世界中にいるボーイングのチームメンバーが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大防止に尽力してくれたことを非常に誇りに思っており、これに対応してくれた連邦政府とパートナー企業の皆さんに感謝しています」とのコメントを発表しています。

 サウスカロライナ医科大学のコール学長は「今回届いたゴーグルとフェイスシールドは、企業やコミュニティが再び動き始める時に、新型コロナウイルスの検査や追跡調査を実施する能力を引き上げてくれます。検査体制の充実は、サウスカロライナ州でも非常に重要です。ボーイングとの長年のパートナーシップは、州における2つの優れた機関が協力し、地域社会を支援する例の1つといえるでしょう」と、検査体制を支える個人防護具に謝意を表明しています。

 ボーイングによれば、今後も個人防護具を運ぶフライトを計画しており、サウスカロライナ医科大学にはトータルで40万セットの個人防護具が届けられるとのこと。経済活動の段階的な再開にともない、再度感染が拡大する恐れがあるため、検査を担当する人々をウイルスから守る個人防護具の需要は、これからも高まってくることでしょう。

<出典・引用>
ボーイング ニュースリリース
Image:Boeing

(咲村珠樹)