アメリカ海軍は2020年4月28日(現地時間)、艦内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、グアムに戻っていた空母セオドア・ルーズベルトが、29日から任務に復帰する準備を始めると発表しました。乗組員交代と艦内の消毒が済み次第、出航して訓練を再開するとしています。

 2020年3月にグアムへ寄港した際、上陸した乗組員が新型コロナウイルスに感染したため、出航後に艦内で感染が拡大してしまった空母セオドア・ルーズベルト(CVN-71)。グアムに緊急寄港した際に、清掃・消毒作業など、重要な任務を続ける約700名を残し、すべての乗組員が退艦しました。

 海軍では速やかに患者を入院させて治療にあたるとともに、グアム海軍病院が乗組員に検査を実施。その結果、陰性と判明した乗組員についてはCDC(疾病対策センター)の基準に従い、地元自治体と協議して、軍が借り上げたホテルで一定期間個別に隔離し、検疫するよう調整しました。




 ホテルでは、グアム海軍基地からの弁当を支給。乗組員の宗教や主義に合わせ、ヴィーガン(完全菜食主義者)用のメニューも提供されました。



 同時に、艦内各所を徹底的に消毒。消毒が完了した場所は「クリーンゾーン」として、立ち入りが禁じられました。消毒に先だっては、念のためCDCが推奨する基準のおよそ1.5倍の期間をおいてから、作業を開始しています。艦の消毒作業に従事した乗組員も入れ替わりで退艦し、隔離・検疫に入りました。



 グアム海軍病院長のマリア・ヤング大佐は「私たちの任務は、艦隊戦力がいつでも任務を遂行できる状態にあるよう、環境を整えることです。今回のプロセスにおいて、全員が互いの健康を維持し、ルーズベルトを海に復帰させるために力を尽くしてくれた、その忍耐に感謝します。私たちは喜んでお手伝いしますよ」とコメントしています。


 一定期間ホテルに隔離された乗組員の検疫を解除するには、検査で2回連続してウイルスが検出されないことが条件。乗組員が艦に復帰する際も、ソーシャル・ディスタンシング(対人間隔の確保)に留意して実施されます。


 空母セオドア・ルーズベルトのチーフエンジニア、ザック・ハリー中佐は「乗組員が退艦したのち、消毒などの作業の結果、船にバリアーとしての『泡』を作ることができました。そしてそれは乗組員に受け継がれます。乗組員はコロナウイルスを防ぐため、この『泡』を維持し続けなくてはなりません」とコメントしています。


 乗組員が乗艦する際はバスで移動しますが、このバスも移動前と移動後にCDCの基準に従って毎回消毒されます。また、艦内でも引き続き新型コロナウイルス感染防止の基準に基づき、マスクなどの個人防護具の着用が義務付けられるとのことです。

<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)