ロッキード・マーティン傘下のヘリコプターメーカー、シコルスキーは2020年4月27日(現地時間)、カナダのヘリコプター運航大手VIHアビエーションから、大型ヘリコプターS-92A+を受注したと発表しました。S-92A+としては初受注で、傘下のクーガー・ヘリコプターで運航される予定です。

 シコルスキーS-92は、最大で19人の乗客が乗れるシングルローター形式の大型ヘリコプター。アメリカの次期大統領専用ヘリコプターに採用されただけでなく、日本でも警視庁航空隊で運用されています。

 VIHアビエーションは、1955年にテッド・ヘンセンとウィリアム・ボーイングJr.(航空機メーカー、ボーイング創業者の息子)によってバンクーバーで設立された、カナダで最も歴史のあるヘリコプター運航会社。傘下のクーガー・ヘリコプターでは、S-92を使っての旅客輸送サービスや、民間の捜索救難活動(SAR)を展開しており、最大のS-92オペレーターです。

 今回、VIHアビエーションが発注したS-92A+は、従来のS-92Aに対し、最新型のS-92B相当にエンジンや駆動系をアップグレードするパッケージを適用したもの。シコルスキーによれば、新しいGE製CT7-8A6エンジンと、“フェイズIV”と呼ばれるギアボックスの組み合わせで、約12.5トンの離陸重量における最大行動半径が400海里(720km)以上に拡大されたとしています。

 シコルスキーの民間部門セールス&サービス担当副社長、オードリー・ブラディ氏は「S-92A+とS-92Bプログラムは、ロッキード・マーティンが民間機部門とその顧客を大切にするということを象徴するものです。このプログラムは低コストで安全性の高い製品をお届けするというもので、VIHがローンチカスタマーとして参画していただけて光栄です」とコメントを発表しています。

 VIHアビエーション・グループのケン・ノリー代表は「VIHアビエーション・グループがS-92A+キット最初の顧客になれて喜ばしく思います。このキットは我々のS-92のパフォーマンスを改善し、業界をリードする全天候・深海救難捜索(SAR)や急患搬送(MedEvac)、旅客輸送を提供し続けることを可能にしてくれます」というコメントを発注に際し発表しました。

 シコルスキーによると、S-92A+キットの引き渡しは2023年になるとのこと。S-92Bについては2025年から顧客引き渡しが可能になるとしています。

<出典・引用>
シコルスキー ニュースリリース
Image:Sikorsky/VIH Aviation Group/USMC

(咲村珠樹)